僕が彼女を好きになってしまったのは、少しの運命的なものを感じたからでもあります。
ある日、彼女が仕事が終わってから大学近くの友達(おそらく彼氏)たちとの留学前の飲み会がある。という事で、僕の家の最寄り駅から乗り換えの電車に乗るため、一緒に下車。彼女は化粧道具の少しが切れたので、僕の家の最寄り駅付近の化粧屋さんで「テスターを探して付けます」と言って、そのまま別れました。僕はそのまま銀行へ行って本屋へ行ってから帰路に着こうとしたのですが、前方から彼女が歩いてくるのが見えました。そして、お互いに指を指しながら、「ええ〜」とか言いながら笑顔で再会。
「テスターなかったんで、違うとこ行こうとしてたんです〜」
「俺も銀行行って本屋行ってたんやけど・・」
「また会っちゃいましたね。」
「じゃあ、一緒に化粧屋あるとこ行こっか?案内するよ」
「は〜い」
と言って、彼氏に会うための化粧を一緒に探すという複雑な役割。ちゃんと化粧テスターはあったので、買ってあげようと思ってたんですが、
「これは大丈夫です。まだ家にあるんで。」
とさすがに遠慮されました。彼氏でもないし、10歳も年上の男に化粧品を奢ってもらう筋合いは確かにないですからね。それでも、
「ありがとうございます。お疲れ様です。また、明日ですよね?ってさっきも同じセリフ言いましたけどね。テヘペロッ」っと、ペコちゃんのように舌を出して笑う彼女はいつも以上に可愛いいんです。僕は、
「ホントや、もし今日3回目の再会したら結婚するような運命やな?」
「そうですね。テヘペロです」
「はいはい、まあまあ可愛いよ」
っと、冷静ぶる10歳年上のオッサンとしては軽く流しておいてその日は別れたものの、コレで運命的なモノも感じたのでした。
また、仕事中に彼女が「印鑑を失くした」という事があり、終業時間間際に何人かで探した日があったのですが、結局見つからず。でも、結局は彼女が自分のカバンに入れていたという・・・僕はそれを帰りの電車内を待つホームで聞き、「人騒がせな女やな」と言うと、「テヘペロです」と、ペコちゃんポーズの彼女。
「でもテヘペロとか友達ともネタでしか言わないですよ〜。」
じゃあ俺って特別なの?っという思いが僕の中でこの日以降強くなりました。この件と年配女性スタッフからの「2人がカップルに見える」発言、上記の運命的な再会、毎日2人で帰ってる事などなど。10歳の年の差、彼氏がいて、9月からは留学してしまうなどの厳しい状況があっても、僕の中で彼女の存在はどんどん大きいモノになって行きました。
最年少だった彼女は、やはり社内でも人気があり、少し年配の男性スタッフは朝の挨拶時にワザと肩をぶつけたりしてるのも見ました。その時の僕は「それはセクハラですよ。」と悔しさ混じりの冗談を言い、「たまたま当たっただけだよ。」と返され、彼女も「そうです」と。「じゃあ・・」僕は彼女を抱きかかえようとするポーズをすると、彼女は「それはセクハラで〜す。ウフフッ」とか。他にも彼女を呼び止めるのに、肩や髪、手を触ったりする男性もいました。仕事上の事なので当たり前なのかもしれませんが、僕は全くそれも意識してスキンシップを取っていなかったので悔しさかったです。それにワザと肩をぶつけるように歩いてくるって、あわよくば横乳に擦れようとしていますよね?本当に嫉妬ばかりしていました。
それでも、電車内で話す時も僕を端に追い詰めるように座って話し込んでくる時もあるし、お別れ会で僕の隣に座っている先輩社員の子供達の写真を見るのに、彼女が僕の顔の前に自分の顔を寄せ合うような行為をしたり、などされると大興奮。10歳も年下に翻弄されっぱなしでした。
でも彼氏もいるので手を握った事もなく、連絡先も交換せず・・・彼女の最後の出勤日になってしまいました。
(続く)