ミスキャンパスの座を射止めたのはえりなだった。
会場の一般来場者投票では麻里子が大きく上回ったものの、配点のウエイトの大きい審査員票でえりなが上回ったのだ。
しかしこれが物議をかもすことになった。
「おかしいよ、一般投票と結果が違いすぎる」
「なんか不自然だな。調べたほうがいいよ」
そんな意見に押されて、再調査を行った結果、とんでもない事実が発覚したのだ。
時は最終選考の前日にさかのぼる。
ファイナリストの出場者20人は翌日の本選の打ち合わせに集められ、それが終わったときのことだった。
解散してほかの出場者がその場を離れるのを見届けると、翌日の審査委員長である4年生の学生にえりなが「今日ご飯でもどうですかぁ」と甘ったるい声で誘いをかけた。
もちろん横にいた3年の副委員長にも。
「この二人を抑えればあの1年の子に勝てるわ」
えりなにとっては麻里子に勝つための計算づくの行動だった。
学校でも評判の容姿を持つえりなに誘われて断る男などいるはずもない。
二人は喜んで夕方、えりなを連れて大学近くの居酒屋へ向かった。
もちろんえりなは自慢の胸をこれでもかと強調した谷間もばっちりの服で出陣。
1対2とはいえ、えりなと飲める機会などそうあるものではない。
二人は舞い上がっていた。
やがて酔いが回ってきた二人はえりなの胸に話を振る。
「えりなちゃんってかわいいのに胸もすごいんだね」
まずは先輩の委員長が褒め上げると
「えーやだーおっぱい星人だぁ」とこの辺りはまるでキャバ嬢のように相手を傷つけずするりとかわす男慣れしたえりなの真骨頂だ。
しかしここで胸フェチの副委員長が「ねーえりなちゃんって何カップ?」と畳みかける。
「えー、覚えてないよ〜」とここでも逃げようとしたが二人して問い詰めると「今Fなんだけど最近、きついの。Gとかなるとあんまりないしどうしよう〜」と少しかわい子ぶるえりな。
これは巨乳の自分がさらに胸が大きくなっていることをアピールする、胸フェチにとっては殺し文句ともいえるセリフだ。
そのかわいいルックスと胸を武器に男性経験も豊富なえりなにとって、年上とはいえ女性経験の少ない大学生など赤子の手をひねるようなものだった。
もう二人はメロメロにされていた。
すると「ねーえりなちゃん、うちこの近くなんだけどで飲みなおさない?」
と横に座っていた委員長から声がかかった。
しかしえりなにとってこの二人と恋愛関係になりたい気持ちなどかけらもなかった。
ほしいのは明日のミスコンでの自分への投票、ただそれだけ。
いかにもと思われるのも嫌なので「えーちょっとー」と一応は逃げたが、「明日のミスコンを逃せばもう女子アナの夢は絶たれてしまうかも。絶対ミスになりたい」
その気持ちが勝ってしまったのだ。
でもHまでしたくない。
テレビ局の偉い人なら別だけどこの段階でやらせるなんてもったいない。
するとえりなは「ねーカラオケ行こうよ、なんか歌いたいの〜」と甘えた声で言い、二人を誘った。
ボックスならおっぱい触られるくらいで済むし。そっから誘われたら今日はダメな日なのって断ればいい、えりなはどこまでも計算高かった。
腰を折られた男たちは落ち込んだもの、もしかしてボックスならおっぱいだけでも、という気持ちもあり気を取り直してここから近いカラオケボックスへ向かった。
最初は歌っていた3人だったが、やがて委員長がえりなの腰に手を回し、酔いに任せて服の上からおっぱいを触り始めたのだ。
「やだ、ダメ」とえりなは笑いながらかわした後、ついに本音を出した。
「明日、あたしに入れてくれるんならいいよ」と。
しかし盛りのついた男がこの要求を拒めるはずなどなかった。
「あたりまえじゃん。絶対えりなちゃんだし」と言うと「うそー、打ち合わせの時もあの1年のスタイルのいい子の脚とか胸ばっか見てたじゃん」と明らかに麻里子を意識した発言。
「えっ、そんなことないよ。えりなちゃんのほうがかわいいし」というと「ほんと?じゃあ明日絶対だよ」と念を押すとえりなは自分で胸元を開いて男の手を自分のブラのところに持って行った。
「すげー、これがGカップだ」
男は興奮してブラをずりさげて生乳を揉み始めた。
「こんなでかい乳、初めてだよ。もうたまんねー」
すると後輩の副委員長も黙っていない。
「俺も次、やらせてくださいよ」と懇願し、チェンジ。
「これがあのえりなちゃんのおっぱいか。おれ、えりなちゃんでいつも一人Hしてんだよ。もう夢みたいだ」と恍惚の表情でもみまくる。
しかしボックスではここまでが限界だった。
そしてえりなはとどめの一言も忘れなかった。
「ほかの委員の子にもあたしに入れるように言っておいてね」
ほかの委員は1年生や2年生なので先輩の二人が言えば大丈夫だろう。
そこまでえりなは計算していたのだ。
やがて3人への事情聴取でこの事実が明らかになり、えりなのミスキャンパスの栄冠は取り消され、麻里子が繰り上げとなった。
そしてスキャンダル好きなマスコミもこの事実を報じ、
「A大ミスコンで不正」
「アナウンサー志望の女子大生、肉弾攻撃」
などと大きく取り上げられ、えりなは好奇の目に耐えられず、退学することとなった。
一方で繰り上がり当選となった麻里子にも
「ミスA大は雪国出身の色白美人」
くらいはまだいいとしても
「モデル並みの脚とグラドル並みのバストを併せ持つスーパーボディーのミスA大」
「細身の体に推定GカップのA大ミスキャンパス」などと明らかに麻里子の体に焦点を当てた取り上げ方が目立った。
こんな麻里子を生き馬の目を抜く芸能界がほっておくわけがなかった。