ファーストコンタクトに成功した僕はそこから毎日部活に励む日々になる。
最初の1週間は愛美(めぐみ)先輩と「良い事」をするためだけに嫌々やっていた。
それを察しられると困るので、愛美先輩の前では極力笑顔でやっていた
さらに1週間たった4月下旬頃、目的とは別に「意外と卓球って楽しいな」と
感じている自分が居た。先輩の教え方が上手いっというのもあるんだろうけど、
女の子特有の良いにおいと横から眺める双丘の絶景がたまらなく良かったことも
その要員だろう。
演技ではなく心から楽しんでいる様子が愛美先輩にも伝わったのか、
「ななし君って凄く楽しそうにやるんだね、そういう人(素人)
久しぶりに見たよ。教え甲斐があって嬉しいな」と。
先輩も笑顔になっていた。教えるときの厳しい表情は変わらないものの
最初の1週間よりも表情が柔らかく、何より可愛らしくみえた。
「胸とか関係なしに普通に付き合いたい」と思い始めてる自分も居た。
GWの交流会、交流戦とは別に僕らの心の交流は既に始まっていたのかもしれない。
そうこうしてるうちにGWの交流会が始まった。
交流会、交流戦と言っても僕と愛美先輩が普段やっている事と同じ事を
新入部員が先輩を指名もしくは先輩から逆指名で相手を決めてやるだけである。
相手の指名権は新入生で新入部員である1年生に優先権があり、
1年生が特にペアを組んで練習したい先輩がいなければ
2年、3年の先輩から逆指名されるというもの。
僕は愛美先輩を他の同級生に取られたくない一心で自分の指名の番
(苗字的に3番目)だったが無視して真っ先に「愛美先輩とやりたいです!」と
開口一番に言って見せた。周りが「え、まだななし君の番じゃないよ?w」と
クスクス笑っていた。それを見ていた愛美先輩もまた笑いながら
「仕方ないなー、ななし君は私が担当するから(笑)」なんて笑顔で言っていた。
内心ガッツポーズを決めて心の底から喜んだ。
交流会、交流戦は5月3日、4日、5日の3日間で行われる。
3日と4日でそれぞれ練習し(メニューは自由)5日に試合形式でやるというもの。
3日はこれといった進展もなくただ
「ななし君、本当に素人?周りの1年生より強いかも」
なんて言われたりして少し調子に乗っていた。もちろんお世辞なのはわかってたし、
先輩の方が僕よりも全然強いのは目に見えていた。
それでもただ褒めてくれる事が嬉しかったのだ。
4日にちょっとしたアクションを起こそうと思っていた。いきなり告白とかではなく
アクシデントに紛れてあの胸を鷲掴みしたい、揉み解したいと。
3日に褒めてくれた事で調子に乗ってた僕はそれを練習中に実行しようとしていた。
プランとしてはいつもどおりに普通に練習→ラリーの途中でわざと階段のある方向に
ピンポン玉を飛ばす→一緒に探しに行く→それを見つけ取ろうとした所を
後ろから鷲掴みにする
といったような子供の考えそうな浅知恵そのもの(苦笑)
当日、いつもどおりのラリーの練習で
「ななし君、1年生ならレギュラーとれるかもよ?」
なんて言われたけど頭に入っていなかった。
作戦実行の事で頭がいっぱいになっていたからだ。
反応がない僕を見て心配したのだろうか愛美先輩は不思議そうな顔をしながら
ラリーを続けていた。僕はそろそろ実行に移そうとわざと大振りをし階段のある方向に
ピンポン玉を飛ばしたのである。すると愛美先輩が
「ちょっとななし君、どこにやってんの(笑)」と
案の定、階段の方に取りに行った。僕もすかさず後を追ったのだった・・・。