砂浜沿いの岩陰に身を潜めながら、僕は体育座りをして深いため息を繰り返していた。憧れのグラドル事務所に採用され、撮影スタッフになれたのはいいものの、試用期間中なので待遇がAD以下だったのだ。
監督の機嫌が悪いと八つ当たりの的にされる。ケータリングに不備があるとフードデリバリーのパシリにされる。果てはいろんな現場スタッフから小間使いにされていた。
一日中グラドルの水着を見れておかずに不自由しない、なんて期待は妄想でしかなかった。忙しくて見る暇がないのだ。本気で転職しようかと考えはじめていた。
「見ぃつけた」
岩場にへばりついているフジツボを眺めていると頭上から声がした。
「……いません。気のせいです」
「休憩時間終わってるわよ。向こうで監督がイラついてる」
無許可で延長した現実逃避タイム。立ち上がる気力はゼロだ。
声を掛けてきたのは水無瀬結衣さんと杏奈オルソンさんだった。
水無瀬さんは14歳でジュニアアイドルデビューして以来、一度もフェイドアウトしたことがなく、十二年間、最前線で活躍しているトップモデルだ。年齢的にそろそろファン離れが始まるかと思いきや、熟した妖艶さが新たな魅力となって、むしろファンを増やし続けている。
杏奈オルソンさんは23歳。名前の通り欧米の血が混じったハーフグラドルで、加藤エレーナちゃんと並んで「北欧系の双璧」と称されている。
ただ元気いっぱいのエレーナちゃんに対し、杏奈さんは優しさを漂わせる落ち着いた感じのモデルだった。おねショタ妄想に耽る男子中学生のハートを鷲掴みするような。伝説のファースト写真集『Venus’s Smile』は、フリマで高額取引されるレア本だ。
「捜しても見つからなかったことにしてください」
と僕は膝小僧に顔を埋めた。
「サボるとクビになっちゃうわよ?」
水無瀬さんと杏奈さんが心配して僕の傍に降りてくる。
二人が初共演するPVの撮影現場だった。日本の南西諸島にある孤島。二日間で、隣の有人島と往復しながらビーチシーンを撮りきるという弾丸スケジュールだ。
「クビでいいです。奴隷扱いにはもう疲れました」
「なにネガティブになってるのよ。将来は監督かプロデューサーになって、佳人くんが創りたいPVを創るんでしょう? 下っ端時代に経験を積むのも大事よ」
「監督やプロデューサーになる気はないんで」
「……じゃあどうしてこの仕事を選んだの?」
杏奈さんが首を傾げた。ホルダーネックのフリルビキニ。水無瀬さんはバタフライ柄のトライアングルホルダービキニだ。
「おかずに困りたくなかっただけです」
「ああ、そういう新人スタッフさん、よくいる」
「で、理想と現実が違うとすぐ辞めたがるのよね。励ますほうも疲れるわ」
「どうせ堪え性のないダメ人間です。撮影に戻ってください」
しっしっと追い払うように手を振った。
すると二人が僕の腕を引っ張って無理やり立ち上がらせた。
「『辞めたがる』って言ったの。実際はクビにもなってないし転職もしてないわ。今でもこの業界で働いてる。それこそ敏腕スタッフとしてね」
「僕とモチベーションが違うんです」
「鬱になったスタッフさんを元気にしてあげるも私たちの大切なお仕事なの」
「意味わかんないです。もう頑張れません」
「おっぱいでおちん○ん挟んであげる。だから絶望しちゃだめ」
……今、なんて言われた?
仕事に嫌気が差して離職しようとするスタッフを、その身体を以って引き留めるのがグラドルの裏仕事らしい。デビューしては消え、消えては雨後の筍のように新人がデビューする世界だ。撮影スタッフが足りなくなるのは死活問題なのかもしれない。
「ジュニアアイドルもやってるんですか」
「まさか。彼女たちはせいぜい説得する程度よ。身体を使うのは大人の仕事。セクシャルな世界とはいっても、コンプライアンスは遵守しないと」
ああよかった。
ぐいぐいと引っ張られる両手。
「他のスタッフに見つかるから場所を移すわよ」
本当に、この揺れまくりの巨乳で励ましてもらえるのだろうか。
連れて来られたのはロッジだった。島の所有者が休暇を過ごすためのログハウスだ。撮影中はご自由にお使いください、と利用許可をもらっていた。
「あの……ここじゃむしろ見つかりそうな気がするんですけど」
「平気よ。人間の心理としてまず真っ先に疑うのは安全な隠れ場所。いきなり林の中や洞窟を捜そうとしたりしないわ」
水無瀬さんが言う通り、すでに僕を捜索した痕跡が残っていた。撮影前に閉めたはずのドアが開いていたり、水分補給したペットボトルがテーブルの上に置いてあったり。
「もう誰も来ないよ」
と、杏奈さんが誘惑するように耳元で囁く。
「からかってるだけですよね?」
「そう思う?」
杏奈さんが僕の右手を掴んで、フリルビキニの上からバストを触らせた。公称Hカップのふくらみははちきれんばかりに盛り上がり、鷲掴むには有り余っていた。
「フ、ファンの人に殺されます」
「内緒」
左手までフリルビキに載せられた。
真正面から鷲掴む格好になって、本能的に手のひらに力を込めてしまう。
張りが強めのHカップは重たかった。円を描くように揉みほぐしてみれば、むにむにとした反作用が返ってくる。
「くすぐったい」
杏奈さんが女神のように微笑んだ。
「ビキニ……捲ってみてもいいですか」
「どうかな」
勇気を試すような口ぶりだ。
僕は思い切ってフリルビキニを捲ってみた。パッドの抵抗があって捲りにくいのは承知の上だ。ブラジャーでもそうだけど、けっこう力を込めないともたついてしまう。
おかずにしていた美巨乳がぷるんと弾んだ。
「すごいきれいな乳首ですね」
「変なこと言っちゃだめ」
杏奈さんが僕の視界を手で覆い隠した。
僕は生乳を揉みまくり、遊ぶみたいに乳房を振るわせてプルプルと波打たせた。乳輪が大き目の、けれど桜色の乳首に吸いついてしまったのは本能の為せる業だ。杏奈さんの乳首は美味しかった。突起をれろれろとくすぐると切ない吐息が聞こえた。まるで赤ちゃんのように乳首を吸えば、ミルクは出ないけれど、すべてのストレスから庇護される無限大の安心感に包まれる。谷間に顔を埋めてぐりぐりと頬ずりした。優しいお姉さんはぎゅっと僕の頭を抱きかかえ、甘えん坊な性癖を許してくれた。
「これなに?」
と水無瀬さんが股間をまさぐってきた。
「……勃起です」
「見せて」
水無瀬さんに手伝われ、ハーフパンツとトランクスを脱ぐ。
杏奈さんがTシャツを脱がしてきた。
高嶺の花の二人に囲まれて、僕は全裸になった。
「すごい上向いてる。お仕事辞めたいとか嘘じゃない」
「杏奈さんの生乳を触れたんで。死んでも思い残すことがないくらいのフル勃起です」
「私のおっぱいは?」
「水無瀬さんのおっぱいも興奮します。ほんと挟んでもらえるとか夢みたいです」
二人の、被写体になった時と私的な時間とでは同じ谷間でも印象が違った。オフィシャルな谷間は芸術性を匂わせるけれど、プライベートなそれは発奮要因でしかないのだ。
「私たちをおかずにして、いつもどんなふうにしこしこしてるの?」
水無瀬さんと杏奈さんが目の前にしゃがみ込む。
「こんなふうに……」
僕は雑魚ち○こを擦った。
おかずにしていたグラドルを生おかずにできる栄誉。見おろせば深い谷間が二つ、パイズリを待っているかのようにたわんでいる。ここに挟んでもらえる。圧迫してもらえる。
「おちん○ん、すごい喜んでる」
「もっと近くで見てもらっていいですか」
恥ずかしいくらいに皮を捲りきり、亀頭を全開にした。
水無瀬さんと杏奈さんがフェロモン発散中の粗ちんに顔を近づけ、まじまじと鑑賞する。僕はパノラマで見えるように肉棒を誇り、ぺちんぺちん跳ね返らせた。
「ふうっ」
「フウっ」
「息を吹きかけられたらくすぐったいです」
「先っぽからエッチな汁が滲み出てる」
杏奈さんが僕の乳首を弄ってきた。控えめなネイルアートが施された指先が突起を弾いては引っ張る。水無瀬さんにも反対側の乳首を責められると身震いしてしまった。乳首で感じるのは女性だけではないのだ。
「挟んであげる前に精子出ちゃいそう」
水無瀬さんが肉棒を見つめながら笑った。
「一回出したいです。じゃないと二人のパイズリに耐えられない」
憧れのグラドルに乳奉仕され、どうして射精コントロールができるだろう?
「だめ。しこしこぴゅっぴゅはお家でやって」
――イメージ通り、水無瀬さんはエス属性だった。
夢みたいなセクハラタイム。僕は水無瀬さんのビキニブラを捲り、パフィーニップルのGカップを揉みまくった。杏奈さんの芸術的な美巨乳に対し、水無瀬さんのそれはロケット型に近い。U字型の乳房を誇っているような。
唖然とするのはその柔らかさだ。両手で鷲掴んでみると、頼りないスライムみたいにひしゃげた。弾力や張りはどこだ、と一瞬、信じられなかった。女性によってバストの触り心地が違うと改めて認識させられた。
天然哺乳瓶を吸って谷間に顔を埋める。水無瀬さんが窒息寸前まで頭を抱き締めてくれた。シトラスグリーンのUVクリームの香り。杏奈さんに勃起鑑賞されながら、水無瀬さんのGカップに甘えられるなんて幸せでしかない。
「おちん○ん、ちょっと落ち着いた?」
「はい……でも二人のパイズリですぐ出しちゃうかも」
「早漏の予防線張らない。せっかちなおちん○んでも呆れないよ」
――Cheer Up! 男子の元気を応援するのがグラドルの仕事だ。
水無瀬さんが目の前で立て膝になり、誘(いざな)うように谷間を押し広げる。
「いいよ。おちん○ん持ってきて」
張りきりすぎて硬度カンスト状態のち○こを摘むと、Gカップの谷間にあてがった。
水無瀬さんがスライム乳を手繰り寄せる。一瞬でち○こが埋もれた。
(ヤバ……っ)
パイズリしてもらった経験は過去に二回ある。一度目は大学時代に元カノに、二度目は社会人になってからデリヘル嬢に。けれど元カノはBカップでわがままを無理強いした感じだったし、デリヘル嬢もDカップで期待していた満足感は得られなかった。モヤモヤした不満がずっと渦巻いていたのだ。
――それが。
現役グラドルの破壊力は凄まじかった。挟み込まれた瞬間にリビドーが歓喜する。逃走を許さないようがっちりホールドされる。とろけたマシュマロみたいな、けれどどこか圧迫感のある乳房に包まれてみれば、谷間の中で愚息がカンストを超えようとしていた。
「隠れちゃった」
「柔らかくて気持ちいいです……もっといっぱい挟んでください」
「こんな感じ?」
水無瀬さんが上目遣いに僕のリアクションを確認しつつ左右の乳房を揺らす。プルプルと上下に波打つスライム乳は摩擦力を繰り出した。捲られたバタフライビキニがずり落ちてこないのも、巨乳ゆえの特権だ。
「えい」
悪戯心を起こした杏奈さんが、水無瀬さんのそのバタフライビキニを元に戻した。
「くぐらせパイズリじゃない!」
「だって佳人くん、フェチっぽいからこうしたほうが喜ぶかなって」
「じゃあ恥ずかしいけど」
水無瀬さんが頬を火照らせて戸惑いつつ、ビキニの谷間にフル勃起をくぐらせ込んで、スライムGカップを交互に揺らしはじめた。
肉棒の両サイドを刺激する柔らかさ――否、ち○こ全体を包んでくる幸せ。射精欲に耐えながら下唇を噛み、水無瀬さんの肩に掴まってみれば、ベテラングラドルがいったんち○こを解放し、ロケットおっぱいを手繰り寄せて垂直パイズリを誘ってくる。
僕は谷間にフル勃起を突き刺し、その深さを満喫すべく腰を動かした。精子を極限まで溜めて放出したい気分だった。
水無瀬さんがまたビキニカップの繋ぎ目にフル勃起を差し入れ、はみ出た亀頭を咥えた。
「……パイズリフェラとかやばいです。出ちゃいます」
「気もひぃいの……?」
前後に揺れるショートヘア。性癖どストライクのプレイだ。僕はムズムズした前兆を堪えきれず、怒濤のような快感に恍惚となった。
「げほっ、ごほっ。いっぱい溜まってたじゃない」
「ごめんなさい……口に出しちゃいました」
ベテラングラドルが手のひらに雑魚ち○この夢の跡を吐き出す。それはネットリと糸を引いて、栗の花の臭いを漂わせていた。
「まだ頑張れる?」と杏奈さん。
「ちょっと休憩が……」
「賢者タイムに入るとお姉さん怒るよ。おちんち○ん、ずっとおっきさせてて」
「はい……わかりました」
そう言われても萎えてしまうのが男の生理現象だ。
だらんとやる気を失いかけた雑魚ち○こを、北欧系のグラドルが手でサポートし、応援するようにキスする。棹をそり返されて裏側やおいなりさんを舐められてみれば、賢者タイムをすっ飛ばしてち○こが再稼働した。
「また元気になった。偉いね」
「挟んでください」
「慌てないの。お姉さんに任せて」
心持ち前に突き出したち○こを、杏奈さんが受け取ってHカップに誘導した。張りが強いビーナス乳に添えられたそれは、フリルビキニをくぐらせてもらって、左右からゴム毬並みの圧迫を受けた。憧れのグラドルにパイズリされているというシチュエーション、フリルビキニに差し込んでいるという変態さ、そしてち○こがすっぽり覆われている眺望は夢の極致だ。早漏でももう恥ずかしがることはない――いっぱい、杏奈さんのHカップで射精したい。
杏奈さんが乳房を揺らした。プロローグのように、ゆっくりと。
「どんな感じ?」
「すごい気持ちいいです」
「ずっとこういうことされたいって妄想してたんだよね。谷間の中でさっきより元気になってくるのわかるよ」
「おっぱいを交互に揺らしてほしいです、水無瀬さんみたいに」
「こう?」
くぐらせパイズリのまま杏奈さんが乳房を動かした。スライム乳より圧迫感が強烈なので、ち○こが窒息しそうだった。ていうかしている。むにむにぐりぐりとリズミカルに揺らされてみれば、フル勃起がカンストを超えて再び射精欲が疼きだした。
「はい、こんにちは」
水無瀬さんの悪戯返し。フリルビキニを下方に引っ張って亀頭だけ露出させた。
「すごい真っ赤になってる。苦しそう」
「ああっ」
先っぽに猛烈なくすぐったさが駆け巡った。杏奈さんが舌先でちろちろしたのだ。
「悶えても逃げられないよ。おっぱいでがっちりホールドしてるもの」
「やばいです。そんな……杏奈さんのパイズリフェラなんて」
僕のリアクションを嬉しがるように、悪戯な女神が愛撫を続けた。亀頭にフォーカスしてべろを小刻みに動かし、時に優しく咥えたのだ。
「なんか私の時より喜んでない?」
少し機嫌を損ねた水無瀬さんも参戦する。杏奈さんと協力するというか競うように先っぽを舐めてきたのだ。
同時責めの快感に身悶えれば、女神の口中にすっぽりと埋もれて感動してしまう。
そうかと思えば嫉妬した水無瀬さんに割り込まれて、ち○ぽを咥え奪われた。
やがて亀頭にまた二つ舌が伸びてきて、好き勝手にれろれろちろちろされる。
そんなことが繰り返されて僕の脳ミソはドーパミンで決壊しそうになった。
「さすが一回出しただけはあるわね。私と杏奈のコラボなんて普通は秒殺よ」
「幸せすぎてち○こ破裂しそうです。……今までにコラボした経験あるんですか」
「今回の撮影が初共演なの忘れた?」
「あ、そうだった」
「佳人くんが初めて」
以心伝心で二人がフリルビキニとバタフライビキニを脱ぎ、HカップとGカップの巨乳を晒した。
「そこに座って」
と、水無瀬さんがリビングのソファを指差した。
素直に従うと水無瀬さんと杏奈さんが立て膝になり、僕の両腿脇から上半身を寄せてきてそそり立つ肉棒を左右からおっぱいで挟んだ。
(ダブルパイズリ……)
望外とはこのことだ。一人でさえ大感激なのに、同時に挟んでくれるなんて。
HカップとGカップに逮捕されて雑魚ち○こは喜びまくっていた。
「我慢しなくていいよ。気持ちよかったらいっぱいぴゅっぴゅして」
「お姉さんたちが見ててあげる」
「まじでヤバいです……水無瀬さんと杏奈さんのダブルパイズリとか幸せすぎです」
「どっちのおっぱいが好き? 私? それとも杏奈?」
「ど、どっちも」
ライバル心を燃やしているのかどうかはわからない。水無瀬さんがスライム乳をユサユサ波打たせると、杏奈さんも負けじとビーナス乳をたぷんたぷん揺らした。
左右から対称的な柔らかさが襲ってきて、どちらの気持ちよさに集中していいのか頭が混乱する。いや、快感がシナジーとなって射精欲に収束した。
水無瀬さんがスライム乳を交互に揺すって雑魚ち○こをいじめれば、杏奈さんも同調するようにビーナス乳を駆使する。それは時にシンクロを続けながら、時にてんでばらばらなパイズリテクを披露した。転職するのやめようと思った。
「……で、出ます」
ダブルパイズリが加速度を増した時、雑魚ち○こにムズムズ感が迸った。
僕は谷間からち○こを引っこ抜くと、水無瀬さんの顔とGカップ、杏奈さんの顔とHカップに満遍なくスペルマを浴びせかけた。万人のために存在するはずのグラビアアイドルを穢しているという罪悪感が余計に興奮をあおり、気がつけば二度目とは思えないほどの量を撒き散らしていた。
「またいっぱい出た」
とスライム乳を見下ろす水瀬さん。
「目が開けられない」
と白濁液を垂らしながら微笑む杏奈さん。
僕はそれから二人にお掃除フェラしてもらってロッジを後にした。
――撮影現場に戻ったらみんなで監督に殺されそうになったけど。
***
「……あら、佳人くんじゃない。お仕事頑張ってる?」
「その節はお世話になりました。おかげでこうして業界に残ってます」
僕は席を立って水無瀬さんにお辞儀した。
本社の会議室。無人島での撮影から三カ月後の、新作PVでの顔合わせだった。一社員としてプレゼンした企画が役員会議で承認されたのだ。水無瀬さんはもちろん、杏奈さんや加藤エレーナちゃん、そして星井愛華ちゃんやジュニアグラドルも勢揃いする一大プロジェクトだ。ダウンロード販売開始直後にアクセスエラーさせるのが目標だった。
「ADになれた?」
「実は今、企画営業部に異動しないかって誘われてるんです」
「企画の才能があったんだ。佳人くんが現場にいないと淋しいのに」
「……あははは。じゃあ打診を断ろうかな」
照れ笑いを浮かべた時、総合プロデューサーの社長が入室してきた。スケジュールの都合上、杏奈さんと加藤エレーナちゃん、そして星井愛華ちゃんは欠席だ。
「お忙しい中、お集まり頂いてありがとうございます。どうぞ腰掛けてください」
ベテランから順番に座っていくのは常識だ。水無瀬さんが先に座ってジュニアアイドルがそれに続いた。
水無瀬さんが僕の腕をつついた。
「これが私のLINEグループ。杏奈ちゃんとエレーナちゃん、それに愛華ちゃんも参加してるから佳人くんも仲間に入ってよ。異動しても励ましてあげる」
「鮎川れいなさんと今井聖奈ちゃん……新山伊織ちゃんまでいるんですか」
「おちん○ん、忙しくなるわよ」
不敵に微笑む水無瀬さん。
――この仕事をもう少し頑張ってみよう。たとえ憂鬱になることがあっても、それと等価交換される報いが絶対に訪れるのだ。
妄想寄稿『Cheer Up!』END