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妄想寄稿『妄想の宝箱』 小説  Angel Heart  - 21/8/12(木) 19:01 -

■Episode11『二次審査』
 手元にある資料をパラパラと捲りながら、おれは面接の開始時間を待っていた。新人グラドル発掘のオーディションを企画したところ、全国から数百の応募があったのだ。
 一次審査の書類選考で大部分を落とし、十名だけを二次審査に通した。今日さらに半分に絞るつもりだが、将来性があれば全員合格にするし、そうでなければ該当者なしにする。
 ……と偉そうな口ぶりでおれが言うのは責任者だからだ。Angel Heartプロモーションに移籍して三年、初めて任された大役だった。肩書はプロデューサーである。
「候補者への事前説明、終わりました」
 会議室のドアが開いてスタッフが伝えに来た。普段はテーブルが並べられている部屋だが、候補者と対面する形式に模様替えされている。隣には鮎川れいなさん。プロダクション発展に貢献したレジェンドグラドルだ。大先輩の目には候補者がどう映るのか興味があって、特別審査員として招いていた。
「始めていい?」
 そう尋ねるとれいなさんがうなずいた。おれは一人目の候補者を呼んだ。

 入室してきたのはポニーテールの女の子だった。真っ白いビキニを着ている。特に服装は指定していないので、彼女なりのアピールなのだろう。緊張しているのかドアの前に立ち竦んだままだ。
「どうぞ掛けてください」
「はい、よろしくお願いします」
「えっと……まず名前と年齢、それから出身地と現在の職業を教えてください」
「今井聖奈(いまいせな)19歳、神奈川県出身の大学一年生です」
「学部は?」
「外国語学部フランス語学科です」
 履歴書を見ればわかる質問は面接の導入みたいなものだ。
「スリーサイズもお願いします」
「上から87・58・88。Gカップです」
「Gカップですか。大きいですね。……エントリーシートの志望動機欄には目を通しましたが、もう一度、聖奈さんの口から書ききれなかった事柄も含めて説明してもらえますか。熱意をじかに感じたいので」
「はい。私は今の世の中が、特に性に対する認識が偏見に満ちていると考えています。LGBTQだからといって奇異に見られる必要はありませんし、高齢童貞だからといって嘲笑されるいわれもありません。それなのに実際は、レインボーフラッグを掲げないと認知してもらえない、経験値ゼロなんだとどん引きされる。おかしいです。誰が誰を好きになっても自由だと思いますし、性自認の隔たりは多様性の表れです。性行為はリア充だけの特権でしょうか? 絶対に違います。あらゆる人に性行為を楽しむ権利があるんです。経験の早い遅いを比べてなんの意味があるのでしょう。
 もちろん人間はDNAに支配されていますので、より優秀な遺伝子を残したいと本能が考えるのは理解できます。でも悲しいですよね。イケメンだとかリア充だとか、表面的な理由で遺伝子の優劣が決められていたら。
 ネットで検索するとLGBTQは「性的マイノリティ」と出てきます。確かにマイノリティかもしれませんが、その少数派が早くマジョリティと同等の権利を持つ世界になればいいな、と思います。そしてその理想を実現するための過渡期が今現在だと感じています。
 話が長くなってすいません。要するに私はマイノリティの味方になりたいんです。特に性体験のない男性に夢を与えられるなら、喜んでグラビア撮影に臨みたいと思います。私の身体でよければ提供します。人の役に立てたら嬉しいです。それが志望動機です」

 完璧だ。マニュアルにそわない本音の叫び。だから二次審査に通した。
「『誰が誰を好きになっても構わない』とおっしゃいましたけど、たとえば三十代、四十代の男性がジュニアアイドルを応援することをどう思いますか」
 れいなさんが突っ込んだ。
「全然キモくないです。勝手な想像ですが、そういった男性は世の中の犠牲者です。イケメンリア充だけもてはやされる世界でのけ者にされたら、そうでない世界に癒しを求めるのは当然です」
「優しいのね」
 Angel Heartプロモーションはジュニアアイドルもプロデュースしている。二次審査に残った候補者の中で最年少は十歳だ。
 おれは言った。
「グラビアで男性の役に立つ、という意味がどういうものか理解されてますか」
「はい。おかずにされるということです」
「明快な返答で清々しいくらいです。これまでおかずにされた経験は?」
「あると思います」
「具体的に教えてください」
「中学二年生の頃にDカップあったんですが、夏服になると、授業中に男性教師が無駄に私の隣にやって来ました。たぶん胸チラが目当てだったと思います。体育の授業の時には男子が私の方を見て盛り上がってました。走って揺れるおっぱいに興奮してたんだと思います。
 同様の経験は高校時代も続きました。ただ高二の時にはFカップに成長してましたのでおかず被害はもっとひどかったです(笑) 電車に乗れば痴漢に遭う、水泳の授業になると視姦の嵐、文化祭の模擬店ではメイドコスチュームを着せられました。最悪だったのは身体測定です。保健係に賄賂を渡した男子が私の測定結果を入手したんです。……そういったネタでおかずにされた回数は数えきれないと思います」
「さんざんな思い出ですね」
「今も街中で男性とすれ違うと必ず胸をチラ見されます」

「バレてないと思ってるから男は阿呆なのよね」
「バレてんの?」
「当たり前でしょ。女の勘をなんだと思ってるの。下心丸出しはすぐ気づくわよ」
「以後気をつけます……じゃなくて、聖奈さんはそれでもグラドルになりたいと?」
「さっきも申し上げたとおり、私は不遇な男性を喜ばせたいんです。私のPVで気持ちよくなってくれるなら嬉しいです。早く作品をリリースしたいです」
「充分熱意が伝わってきました。話は変わりますが特技はなんですか」
「幼稚園の頃から新体操をやっていたので柔軟です」
「見せてください」
 特技としてはめずらしくない。掃いて棄てるほどいる。ただPVをイメージすると無視もできなかった。バレエやバランスボールは鉄板演出だ。
 聖奈ちゃんがカーペットの上で180度開脚した。そのままうつ伏せになってGカップの谷間を全開にする。乳房が押しつぶされてやわらかそうだ。

「よだれが出てるわよ。プロデューサーなんだからしゃきっとしなさいってば」
「体前屈もできます?」
「こうですか」
「いや……できればこっちにお尻を向ける格好で」
 聖奈ちゃんが前屈した。大きなお尻とまっすぐに伸びる足。ビキニが食い込んで股間に卑猥な皺が寄っている。
「ありがとうございます。勃起を我慢できませんでした」
「ちょっとなにおちん○ん出してるのよ!」
「だっておかずにされるのが本望みたいだし――。聖奈さんで今しこしこしていい?」
「はい、ぜひ」
 おれは立ち上がってちん○んを擦りだした。Angel Heartプロモーションでは、グラビア撮影中に男性スタッフがシコる光景が日常化している。女の子たちも嫌がってないし、生おかずにされるとむしろ自信を持てるらしかった。おれもれいなさんや新山伊織ちゃんで何度もシコった。一番気持ちよかったのは加藤エレーナちゃんだ。キャンディを舐める姿にフェラチオを連想した。射精後に『超飛んでたよ』と褒めてもらえた。

「もし聖奈さんがPVをリリースしたら、男性ファンはみんなこんなことするんだよ」
「嬉しいです。頑張ってもっとエッチなポージングしようかなって気になれます」
「撮影中にスタッフもしこしこするんだけど?」
「ファンもスタッフさんも全員まとめて喜ばせてあげちゃいます」
「合格かなあ」
「あんた候補者全員を生おかずにするつもりでしょ。おちん○ん擦り切れるわよ」
「その場でジャンプしてもらえます?」
 聖奈ちゃんが小刻みに飛び跳ねた。Gカップの巨乳がぽよんぽよん揺れまくる。その谷間に挟まれたらどれだけ気持ちいいのか想像すると、あっという間に射精してしまった。
「資料に飛び散ったじゃない!」
「大変気持ちよかったです。男性の射精を見てどう思いました?」
「びっくりです。こんなに出るんだなって」
「でも彼氏のは見たことあるんでしょ?」
 れいなさんが訊いた。
「今は彼氏はいないですが、元彼は中出しと口内発射が好きだったんで射精は見たことがないです。おっぱいで挟んであげる時も谷間に埋もれてて見えませんでした」
「じゃあこの変態プロデューサーが初体験ってわけね」
「PVの向こうのファンも、プロデューサーさんみたいに精子出してくれるのかなって思ったらワクワクしてきました。グラドルになりたいです! よろしくお願いします」
 れいなさんが小声で面接の終了を進言してきた。予定の時間を過ぎている。
「最後にもう一度だけ、聖奈さんからアピールしてください」
「はい。私の身体は世の不遇な男性のために成長してきたと自負しています。笑顔とおっぱいを武器に、たくさんのファンにおかずにされたいと思います。そのためにはどんなポージングでもする覚悟です。どんな演出にも臨みます。……目指すポジションは第二の鮎川れいなさん。プロダクションのレジェンドになりたいです。先輩方に敬意を払いながら、私にしかできないグラドル道を極めたいと思います。よろしくお願いします!」
 聖奈ちゃんが深々と頭をさげ、最後に、Gカップを持ち上げてプルプル揺らし、後ろを向いてお尻を突き出した。今夜のおかずに決定。
「ありがとうございます。審査結果は後日、郵送にてお知らせしますのでお待ちください。本日はオーディションへのご参加ありがとうございました」
 聖奈さんが一礼して退室していった。
 おれはれいなさんと一緒に評価シートに記入した。どんな結末になるかは残りの候補者を見てからのお楽しみだ。

 ……一週間後。二次審査を通った候補者が合宿所に集まった。これから数週間をかけて、グラドルとしての心構えやポージングを研修することになる。脱落しなかった候補者はたった四名。予定より少ない合格者だ。
 その中には今井聖奈ちゃんがいた。十歳の新星ジュニアアイドルもいる(さすがに生おかずにはできなかったけど)。残る二人は双子の高校生姉妹だ。双子を同時デビューさせるのはプロダクション史上、初の試みだ。
 おれは気概にあふれる四人に向かって訓戒した。プロデューサーとして。
「今日からあなた方はプロのグラドルです。友達にちやほやされてきたうぬぼれは棄ててください。お金を払ってもらえる価値があるのか常に自問するように。生半可な覚悟でいるなら今すぐ帰ってくれて構いません。Angel Heartプロモーションは真剣なモデルだけを欲しています。ファンの夢を壊さないでください」
 大きな声で返事をした新人グラドルたちに未来を感じた。
 秋には、彼女たちのファーストPVをリリース予定だ。

                       Episode11『二次審査』了


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妄想寄稿『妄想の宝箱』 Angel Heart 21/6/20(日) 16:50 小説
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