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妄想寄稿『妄想の宝箱』 小説  Angel Heart  - 21/8/12(木) 18:25 -

■Episode9『放課後鑑賞会』
 女子高の教師になる、という夢を叶えて三カ月。きっと妄想で終わるだろうと諦めていたシチュエーションが現実のものになった。学年主任に命じられて放課後の校舎を見廻っていると、三年A組の生徒に手招きされたのだ。教室にはざっと二十人の女子生徒がいた。授業を受け持っていないクラスなので何の用かと思ったら、彼女たちに笑顔で言われた。
「ね……先生のオナニー見せて」

 センズリ鑑賞はおれの性癖ど真ん中だ。射精するまでの情けない姿を女の子に観察される。エム魂を熱くさせる究極の状況。CFNMの到達点といっていい。
 だが巷に溢れるセンズリ鑑賞作品には不満だった。フル勃起を見せつけた時に女の子が照れる姿は萌えるけど、なし崩し的に女の子の服を脱がせたりフェラさせたりするのはいただけない。Clothed Femaleになっていないのだ。裸になるのは男だけでいい。
 当然、セクロスまで持ち込む流れは論外。コンセプトから外れる行為はいっさいやってほしくない。あと素人と称して女優が出演すると萎える。詐欺かよ。

 その点、観察される立場になった今のおれは理想のセンズリ鑑賞を楽しめる。断る気なんてさらさらなかった。二十人の現役女子高生にち○ぽを見てもらえるのだ。
 おれがお願いを承知すると女の子たちが小さく拍手した。どうやらガールズトーク中に男のオナニーを見たことがあるか話題になったらしい。全員経験なし。ただ弟におかずとして下着を失敬された女の子はふたりいた。
「私のブラとかパンツ盗んだあとに、弟が部屋でどんなことしてるのか知りたいの」
 ポニーテールの女の子が言う。名前は知らなかった。というか全員の名前を知らない。廊下ですれ違ったことはみんなあるけれど。
「絶対内緒で」
 とおれは人差し指を鼻先に立てた。
「約束する。新任でいきなりクビとかかわいそうだもん」
 女の子たちがガタガタと机を移動させてセンズリステージをつくった。半円状に並べ直された席に半数が座り、残り半分が立ち見になる。机上で腕を組んだり両手で顎を支えたり、みんな鑑賞の準備万端だ。興味津々の眼差しだった。

 おれはなんの躊躇もなく上半身裸になり、スラックスも脱いでボクサーパンツ一枚になった。誰かに見咎められたらもう弁明のしようがない。
「パンツは?」
「いや……まだ勃起してないから」
 女子高生にモテるためライザ○プに通っているが、女の子たちはセンズリにしか興味がないらしい。割れはじめた腹筋を褒めるでもなく股間を見つめている。
 おれは下着の上から愚息を揉んで興奮させてやった。一点に集まる二十人分の視線と、鼻孔をくすぐる女子高生の匂い。ものの十数秒でそれは硬直し、射精できる状態になった。
(いよいよか……)
 夢にまで見た瞬間が訪れる。おれはゆっくりとボクサーパンツをさげていき、フル勃起をぎりぎりまで押さえつけて一気に跳ね返らせた。ぺちんっ、と音を立てて腹にぶつかったち○ぽが真上を向いた。

「……照」「わ」「……笑」「うん」
 三者三様――いや二十人二十様のリアクション。頬を染めてうつむく、驚いて目を見開く、微笑んで戸惑いをごまかす、うなずいて何かを納得する。期待した反応を全部見せられた感じだ。爆笑したり大きさを批評したりするような、すたれた印象がないのが意外だった。今時の女子高生でも勃起を目の当たりにすればうぶなのかもしれない。
 おれはフル勃起を存分に見せてあげた。根元を摘んで水平に寝かせ、亀頭に注目してもらう。何度も跳ね返らせて張りきり具合を確認させた。楽しかった。羞恥心はもはや快感でしかない。
「シコシコするとこみんなで見てて」
 センズリステージで仁王立ちになり、ペニスを擦りはじめる。余談だがおれのペニスはフル勃起時で14センチ。平均よりミリ単位で大きい。女性経験は皆無で、童貞を卒業する前にセンズリ鑑賞に目覚めた。きっかけは大学生の時、高校生の妹にオナニーを見られてしまったこと。ノックもせず部屋に入ってきた妹に射精の瞬間を目撃されてしまった。妹は無言のまま立ち去ったけど、猛烈な快感だった。おれの性癖を一変させた事件だった。
 以来、女子高生にオナニーを見てもらう妄想ばかり繰り返してきた。勃起ち○ぽをガン見してもらいたい、射精する様子に驚いてほしい。それが今、叶っている。

 おれは肉棒を握ってスローテンポで擦った。初めてのセンズリ鑑賞に女の子たちの視線は釘付けになっている。誰も茶化すことなく、スマホで撮影するのも忘れて。
「おちん○んもっと見て」
 とシコシコしながら観客席を巡る。
「あは……ちょ、近いってば」
「先っぽ真っ赤になってる。気持ちいいの?」
「すっごいシコシコしてる。さっきより早いもん」
「ああもう。弟に部屋でこんなことされてるんだ」
「超恥ずかしいんだけど」
 誰も触らない、息すら吹きかけない。センズリ鑑賞の極意だ。ときめいた彼女たちが制服を脱いだり、淫靡な行為に及んできたりしたら興醒めする。フェラもパイズリも本番も要らない。女の子には黙って男の姿を鑑賞していてほしい。

 順繰りにオナニーをガン見してもらったせいもあって、尿道口からは我慢汁が滲みはじめていた。本心を言えばこの状況をもっと楽しみたかったけれど、射精に驚いてもらうことがセンズリ鑑賞の真価だ。いつまでも自分を寸止めするわけにはいかない。
 おれは再びセンズリステージに戻り、興奮した様子の二十人に囲まれながら我慢のストッパーを外した。高速で肉棒を擦り立て、亀頭に駆けめぐるムズ痒い前兆を最大限までこらえる。一瞬後、放課後の教室が驚愕で静まり返った。
「……なに今の? すっごい飛んだんだけど」
「びっくりした、ほんとに」
「精子ってこんなに出るの?」
 飛距離も量も過去最高の射精だった。身を避けて唖然としている女の子たちのリアクションがおれには最高のご褒美だ。
「ごめん……気持ちよすぎていっぱい出しちゃった。制服にかかってない?」
 女子高で全裸になってセンズリ鑑賞される。夢を叶えたおれは充実感に似た余韻にひたっていた。噂を聞きつけた他のクラス、他の学年の女子生徒にも同じお願いをされたことは言うまでもない――という妄想小説みたいな展開はなく、おれはずっと三年A組二十人の鑑賞対象にされた。誰にも内緒にする、という約束を彼女たちは守ったのだ。

                     Episode9『放課後鑑賞会』了


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