Episode2「S学生湯煙パラダイス」
「……血液検査には大きな問題がなかったんですが、MDCTの方には多少、異常と見受けられる検査結果が出ました」
「はぁ……MDCT?」
「前回、血液検査と同時に受けて頂いたペーパーテストのことです。正式名称はMental Disorder Check Testと言うんですが、簡単に言えば深層心理を探る検査ですね」
「ああ、あの問診票と心理テストが合体したみたいなやつ?」
「ええ。検査の結果、木茂井さんにはSTAGE3の心因性性衝動障害があることが分かりました。正式には複合型フロイト性性器期不全症候群と言って、成人男性の約28%が罹患している病気です」
「び、病気?」
突然の告知におれはかすれた声を上げた。
「いえいえ、そんな怖がらなくて大丈夫です。病理学的には難しい名称が付けられていますが、要するに心的外傷を原因にした恋愛障害のことです。たぶん木茂井さんは、フロイト学的な精神発達の段階が性器期に移行した頃――いわゆる思春期を迎えた頃ですが――、何らかの外的ストレスが要因で恋愛に臆病になったと考えられます。例えば大きな失恋をしたとか異性からのイジメに遭ったとか……。なにか思い当たる節はございませんか?」
ボールペンを構えながらメガネの女医が言った。AVならクリニック系に出ていそうな美魔女だ。
「そう言われてみれば、S学5年生の時に酷い嫌がらせを受けたことがあります。クラス替えをしてからずっと好きだった女の子に勇気を出してラブレターを出したんですが、その返答があまりにも残酷で……」
「と言うと?」
「おれが出したラブレターが、次の日、教室の黒板にさらしモノにされていたんです。『木茂井からのキモイ手紙! ばい菌がうつるからだれか捨てて!!』って――。ショックでした。せっかく思いのたけをぶつけて告白したのに、まるで病原菌かなんかみたいな扱いを受けたんで」
「……」
「それだけじゃありません。おれがみんなに嫌われていることを知って2、3日ズル休みすると、クラスのみんながおれの机に花瓶を供えていたんです。机を囲んで手を合わせて、まるで通夜か葬儀の時みたいに」
「お葬式ごっこですね。今でもありますが個人の尊厳を傷つける卑劣な行為です。担任の先生はなにかおっしゃいました?」
「いえ、見て見ぬふりをしていました。若い女性教師だったんで対処の仕方に困ったのかも知れません。ベテランの先生だったら平手打ちの一発でも喰らわしたんでしょうが」
最近の教育現場はなにかと体罰にうるさい。やれ生徒の頭を小突いたとか長時間にわたって正座させたとか――。
だが、おれみたいにイジメに遭っている生徒が進行形で救いを求めている時、果たして平手打ちの一発は悪だろうか。ペンは剣よりも強いが、時に注意という言葉は無視できるのだ。
「それから?」
「プールの授業の時、クラスの男子に素っ裸にされて教室に閉じ込められたこともあります。当時は男子が先に着替えて、あとから女子が着替えることになってたんですが、女子が水着に着替え始めた途端、海水パンツを脱がされて教室にどんっ、と」
「恥ずかしくて惨めな思いをさせられたんですね?」
「女の子達は悲鳴を上げるし男子達は廊下で笑ってるし……。でもなにも出来ませんでした。股間を隠してしゃがみ込むのが精いっぱいで」
思い出すうちに泣きたくなってきた。今まで15年前のことなどすっかり忘れていたが、先生とのカウンセリングをするなかで悪夢みたいな記憶が蘇ってきたのだ。たぶん、このまま催眠療法でも受ければ、心の奥底に沈めたはずの悪夢がパンドラの箱のように溢れ返るだろう。
先生がカルテにおれの告白をメモした。
「分かりました。木茂井さんが恋愛障害を患っている原因はそこにありそうですね。多感な時期にそれだけ凄惨なイジメを受けたんですから、トラウマを抱えることになっても仕方ありません。女の子は怖い、自分にとっては災厄を招く存在でしかないと、そう思い込むようになったんです。正常な男性は性器期を経て異性との性的な結合を目指すようになるのですが、木茂井さんの場合はイジメが原因で性器期の段階で精神発達が停滞したと思われます。恋愛はするべきではない、異性に好意を寄せてはいけない、と無意識に自分に暗示をかけたんです」
それが心因性性衝動障害か。おれは納得した。ただ、分からないこともある。
「自分がトラウマを抱えていることは分かったんですが、その……正式名称でいう複合型ってなんですか?」
「精神医学的にはコンプレックスと訳される概念です。コンプレックスというと劣等感と訳されがちですが、精神医学的には単に劣等感だけを指すわけではありません。様々な観念が結びついた状態、と考えて下さい」
「はぁ……?」
少し専門的な話になったのでおれは曖昧に頷いた。
「要するに様々な感情が融合した精神状態のことです。文字通り劣等感を指すこともありますし、その他のデリケートな心理状態が複雑に入り交ざった状況を言うこともあります」
「……」
おれが黙っているので先生が続けた。
「もっと噛み砕きましょう。木茂井さんは思春期時代のトラウマを抱えています。でも恋愛に臆病なのはそれだけですか? 自分の外見とか性格に自信がありますか?」
「まさか。この通りブサイクでキモヲタなんで自信なんてないですよ。自分が嫌われていることを知って以来、友達を作ろうと思ったことはないですし、今だっていません。話し相手と言えばネットゲームで知り合った人達くらいで、ファッションとか流行りモノとかにも興味ありません。性格はまぁ歪んでない方だと思いますけど、だからと言ってポジティブでもないですし……。リア充とか肉食系の男子を見るとダメージを喰らいますね。なんで同じ男に生まれたのにこんなに境遇が違うんだろうな……って」
「それが複合体です。木茂井さんの心にはS学校時代に受けたトラウマと今現在ストレスになっている感情がない交ぜになって渦巻いているんです。こう説明しては語弊があるかも知れませんが、S学校時代のトラウマ+今現在のストレス+その他の要因が今の木茂井さんの精神状態です。異性に対する恐怖心や社会への理不尽な思い、あるいは自分の外見や社交性に対する劣等感が複雑に絡み合って正常な恋愛感情を阻害しているんです。S学校高学年で精神発達が停滞しているとすると、おそらく今も性的魅力を感じるのはその年頃の女の子では?」
先生の追及におれは少し口ごもった。
「ええ。実は先生がおっしゃる通りS学校高学年の女の子にしか興味がないんです。ロリコンは自分でも深入りしちゃいけない世界だと分かっているんですが、どうしても同世代や年上の女性には興味が惹かれなくて……」
「心因性性衝動障害の典型ですね。恋愛にはオクテだけど性衝動(リビドー)はちゃんとある。それがさらにジレンマを生んでいるんです。でも悪いのは木茂井さんに心的外傷を与えたクラスメートと世知辛い世の中にありますので自分を責めないで下さい。小児性愛者(ペドフィリア)のほとんどは木茂井さんと同じような経験をされています。思春期の段階でトラウマを背負ったのでその先の精神状態に進めないとか、あるいはもう先に進むことを諦めて精神的に退行する道を選んだとか――。外見や社交性に自信の無い方が、恋愛対象を低年齢層に向けるのも心理学的には仕方のないことです。同世代や年上の女性に相手にされないんですもの、性衝動を満たすためには自分と精神年齢が同じレベルの女の子を相手にするしかありません。犯罪に走らない限りロリータコンプレックスは誹謗中傷されるべき性癖ではなく、むしろ精神障害として受け止められるべきなんです」
また泣きそうになった。ただ単にニート生活から抜け出そうと思ってメンタル相談に乗ってもらったら、こんな理解のある女医さんに出会えるとは。
「小児性愛者を生み出す要因は完全に環境的なものです。本人が悪いわけではなく、偏見や偏った価値観がまかり通っている世の中が悪いのです。イケメンだけモテる社会って間違ってますよね? だって外見の良し悪しはその人に責任がないんですもの。出来る男だけ褒められる世界も間違っています。人にはそれぞれ個性や得手不得手があって当然なんですから、企業とか利潤とかいう価値基準だけで人を測るのは間違った方法なんです。でも現実はそうじゃない。仕事が出来て格好いい男性ばかりがもてはやされる。ニートやブサイクは邪魔者扱い。場合によっては人間以下の扱いを受けることもあります。社会から疎外されたそういった人達は、心の安らぎを求めてロリータコンプレックスやフェティシズムに走ることになるんですが、勝ち組はさらに追い打ちをかけるように負け組を誹謗中傷する。やれキモヲタは死ねとかロリコンは犯罪者だとか。木茂井さんのようにコンプレックスを抱えて生きている人達が、もっと公平に扱われる社会が訪れるといいですね」
「……」
生物には生存本能があるからより優秀な遺伝子を求めて女の子がイケメンや肉食系に傾倒するのは理解できる。だがDNAに人間が完全支配されていると考えるのは少し悲しくないだろうか。ドーキンス博士の理論に反論するわけではないけれど、人間は高度な知能と複雑な感情を持った生命体だ。もっと融通の利く恋愛社会であって欲しい。ニートが美女のハートを掴んだり、ブサイクがイケメンから壁ドンを喰らったりするような――。
おれは少し話題を変えた。
「それで……さっきおっしゃってたSTAGE3というのは?」
「心因性性衝動障害には5段階の病状があるんです。STAGE2以下だとカウンセリングと投薬治療で完治が可能なんですが、STAGE4以上だとそれなりの専門施設で入院治療が必要となります。場合によっては性犯罪に走る可能性がありますので――。ちょうどその中間の木茂井さんは投薬治療とリハビリが必要といったところでしょう。MDCTの結果を見る限り反社会性性格(サイコパス)の可能性はゼロですので施設への入院も必要ありません。S学校時代に受けた心の傷を克服できれば通常の精神発達ルートに戻ることができます」
「つまりロリコンから卒業できると?」
「ええ。治療が成功すれば次のステップに進めます。時間はかかると思いますが、経験し損ねた青春を取り戻しましょう。木茂井さんはまだ26歳なんですから、これから十分にトラウマを埋める時間があります。こちらも可能な限りお手伝いさせていただきます」
先生がおれを安心させるように微笑んだ。美魔女がどストライクの男なら一発で虜になりそうな笑顔だ。
「その投薬とリハビリというのは?」
「抗うつ剤の処方と湯治ですね。処方薬はジアゾセパルとアミスタールにしましょう。どちらも気分を和らげて向上心を刺激するお薬で、自尊心の回復に効果があります。メインはジアゾセパルの方になりますが、アミスタールはより副作用が強いのでジアゾセパル以外のお薬と併用する際は注意が必要です。特にサリチル酸系の鎮痛剤と併用すると肝機能障害を誘発することがありますので厳禁です」
「湯治は温泉ですか……やっぱり?」
外科の治療に湯治はよく聞く話だが、やはり温泉にはリラックス効果があるからメンタルな病気にも利くのだろう。
「当院が心因性性衝動障害の患者さんにご利用頂いている湯治施設がありますので紹介状を書いておきます。当院の診察券をお持ち頂ければ入浴料は3割負担になりますので」
ただし、と、先生がふと語気を強めた。
「場所については他言無用でお願いします。あくまで患者さん専用の湯治施設ですので一般の方に知られては困るんです。特に悪意を持った方に知られると大変厄介なことになりますので」
「……」
先生があまりに真剣な表情で話すのでおれは少し気圧された。たぶん、その湯治施設には何らかの秘密があるのだろう。まさか違法な場所ではないだろうが、ちょっと不安になってしまった。
「そんなに怖がらなくても大丈夫です。ただ普通の温泉とは違う施設だ、と言いたいだけですので」
「はぁ……」
「では検査結果のご報告はこれくらいにして、早速ですが今日から処方箋を出しておきましょう。何度も言いますが、木茂井さんが恋愛障害を患ったのはご自分の責任ではありません。あまり悩まず、ゆっくり治療していきましょう。投薬と湯治を続けて行けば必ず心の傷は治ります」
先生が電子カルテに何かを打ち込んだ。
おれは受付で処方箋と紹介状を受け取り、近くの薬局で二種類の薬を購入した。
女医さんからもらった地図には、内緒の湯治場所が書かれていた。
「あの……西九条メンタルクリニックからの紹介で来たんですが」
「木茂井さんですね。先生からお話は伺っております。診察券と紹介状、それに保険証があればご提示下さい」
秘密の湯治場所というのは街外れの山麓にあった。おれが住んでいるアパートからバスで40分ほどの距離だ。一見すると入浴施設には見えず、むしろ中規模の病院か老人ホームのように見えた。風流のふの字も感じさせず、湯煙の一つも上がっていなかったからだ。
けれどいざ施設の中に入ってみると、そこは町中にある温泉施設と変わりなかった。温かみのあるヒノキ材で内装が統一され、浴衣を着た利用客(利用患者?)が歩き回っていたのだ。
ただ一つ、カウンターに立つ女性が白衣姿だったのが普通の温泉施設と異なっていた。
おれは紹介状と一緒に診察券と保険証を出した。
「初めてのご利用になりますね。先生からもお話があったと思いますが、当施設は心因性性衝動障害の患者さん専用の湯治施設になりますので場所については口外厳禁でお願い致します。その旨、こちらの利用契約書に同意の署名が必要になりますのでご記入をお願いします」
普通の病院だったら士長でいそうな年配の女性が、手際よく書類とボールペンを差し出した。その横では20代くらいの美人な看護師さんが、パソコンにおれの保険証番号と診察券情報を入力している。
「……ありがとうございます。木茂井さんの治療室は7番の浴場になりますのでフロアの案内掲示に従ってお進み下さい。先客がいるかと思いますがボランティアですので」
「ボランティア……ですか?」
「ええ。心の傷を癒してくれるスタッフです。すでに木茂井さんが恋愛障害だと知らせていますし、社会福祉の一環でお手伝いしてもらっていますので了解は得ています。知人親戚が混浴で行う範囲のことであれば許容されますのでどうぞごゆっくり療養されて下さい」
「……」
なにを言われているのか分からなかった。
おれは士長さんの笑顔に少し戸惑いを感じながら案内板に従って浴場へと向かった。
入り口に暖簾が垂れ下がっているのは普通の温泉施設と変わりないが、男湯と女湯の区別がないのが気にかかった。そんな浴場が広いフロアにいくつも並んでいるのだ。病院と温泉を文字通り組み合わせたような造りだ。
そうして暖簾をくぐって脱衣場に足を踏み入れたおれは、目の前に広がっている光景に思わず立ち竦んでしまった。
「こんにちは」「こんにちは〜」「こんにちは〜」
3人の女の子が私服姿で立っていたのだ。
「ぅわ……ごめん、7番の部屋だって言われたけど間違ってたかな」
どう見てもS学校5年生か6年生くらいだ。
「間違ってないですよ。ここはちゃんと7番のお部屋で木茂井さんの治療室だもん。看護師のお姉さんが、今から来る木茂井さんっていう人と一緒にお風呂に入ってあげてねって言ってました」
(このコ達と一緒にお風呂……!?)
おれはさらに度肝を抜かれた。ただでさえロリータコンプレックスの男に、こんな美少女と混浴させるなんて正気の沙汰じゃない。猛獣に餌を与えるようなものじゃないか。
『S学校高学年で精神発達が停滞しているとすると、おそらく今も性的魅力を感じるのはその年頃の女の子では?』
『心の傷を癒してくれるスタッフです。すでに木茂井さんが恋愛障害だと知らせていますし、社会福祉の一環でお手伝いしてもらっていますので了解は得ています』
『看護師のお姉さんが、今から来る木茂井さんっていう人と一緒にお風呂に入ってあげてねって言ってました』
おれの脳裏に先生や看護師さんから言われた言葉がリフレインした。その途端、この湯治施設の秘密が手に取るように分かった。女の子と混浴させることで心の傷を癒そうというのだ。S学生に傷つけられた患者ならS学生と、C学生に傷つけられた患者ならC学生と。
心に傷を負わせた世代が怖いのなら、その世代が怖くないことを実感させればいい。それが心にぽっかり空いたトラウマを埋めるには最適な方法なのだから。
おれは恐る恐る尋ねた。
「さっき受付の看護師さんからみんながボランティアだって聞いたんだけど、一体、なんのボランティアなの……?」
「学校の総合学習です。世の中には病気とか怪我で困っている人がたくさんいるから、そういう人達のお世話をして社会福祉について勉強して来なさいって。みんなは病院とか老人ホームに行ったんだけど、私達は心の病気の人に興味があったからここに来たんです。あとでちゃんとレポートも作って、クラスで発表会もするんですよ」
総合学習か。おれもC学生くらいの時にやった記憶がある。病院でのボランティアではなく近所のスーパーでの手伝いだったけれど。だが、未だに総合学習が続いているとは知らなかった。てっきり、ゆとり教育が廃止されて以来、そんな授業なんてなくなっていたと思っていた。
「そっか……学校の総合学習か。でもほんとに大丈夫なの? おれみたいなキモイおじさんとお風呂なんか入ったりして」
「大丈夫です。私達3人とも将来は心の病気を治すお医者さんか看護師さんになりたいんで、お兄ちゃんの助けになれて逆に嬉しいんです。それに『キモイ』のは名前だけであとは全然キモくないですよ」
――26歳、メタボリック、童貞の自宅警備員。こんなどうしようもない人間をキモイと思わないとは。ましておれのことをお兄ちゃんと呼んでくれるなんて。
(15年前のあの連中とは大違いだ。おれをばい菌みたいに扱いやがって……)
昔感じた憤りがふつふつと湧いてきた。
でも、今、世界中でイジメに遭って悩んでいる人がいるなら声を大にして言いたい。悪いのは君じゃない、周りの心無い連中がすべて悪いんだ、と。心細くてミジメだろうが味方は大勢いるから心配しなくていい。おれみたいなイジメ経験がある人間と、今現在、リアルタイムでイジメに遭っている仲間達だ。君が感じている苦しみは君だけのものじゃない。同じ経験を持つ人間が時空を超えて共有している感覚なんだ。
だから絶対に最悪の解決方法だけは選ばないで欲しい。生きていれば救ってくれる人に必ず出会える。おれが美人の女医さんやかわいいナース達に出会えたみたいに。
「リハビリの時間は45分なんだよ。そんなぼうっとしてたらすぐ終わっちゃうってば」
「え?」
少し独白気味に我を忘れていたら、ふと声を掛けられて現実に戻された。
そう言えば湯治に来たんだった。おれはなにを回想していたのだろう。
ナースのたまご達が順番に自己紹介した。3人とも朝比奈S学校の6年生でクラスメートなのだという。名前は工藤菜穂ちゃん、愛沢花蓮ちゃん、西宮桜子ちゃん――。
菜穂ちゃんは今回の総合学習のリーダーで、セミロングが似合う溌剌とした感じの美少女だった。身長はまぁ平均的だけれど、胸の辺りが豊かにふくらみ始めていた。おそらくはCカップかDカップ。年齢の割には巨乳だろう。
花蓮ちゃんはショートヘアで小柄だ。屈託のない笑みが垢抜けていて、クラスのムードメーカー的な存在なのが聞かずとも分かる。リアルタイムでイジメの現場に遭遇すれば、真っ先に救出に入りそうなタイプだ。
そして西宮桜子ちゃん。ジュニア雑誌のモデル並みにきれいな女の子だ。ハーフっぽい顔立ちに栗色のツインテール。3人のなかでもっとも背が高く、タイプ的にはおれの直球ど真ん中だった。すらりと伸びた足は紺色のニーソで包まれ、パンツが見えそうなミニスカートとの間に艶めかしい絶対領域を作っている。こんな美少女3人組と一緒にお風呂に入れるなんて、ほんとに夢みたいだ。
「早く入ろうよ。さっき覗いてみたけどすっごぃ広いお風呂なんだよ」
「あ、ああ……うん」
菜穂ちゃんの誘いにおれは曖昧に返事をしながら、心臓の高鳴りを感じ始めていた。
(To be continued)