Episode1「聖者の時計」
進学塾の非常勤講師なんていうありきたりのバイトを務めていると、時に教え子達の無防備な姿に出会うことができる。ミニスカートのまま階段を上がってパンチラを見せたり、発育を誇示するかのように背伸びして胸のふくらみを強調してみせたり――。時には胸元がユルいTシャツを着てきて、思う存分、谷間を披露してくれることもある。子供以上大人未満に成長した身体は妙に刺激的で、成熟した女性にはないセクシャリズムが歪んだ男のハートを鷲掴みしてきた。
願わくば思い通りにしてみたいものだ。男の夢を具現化する、巷に溢れるAVみたいに。
「紀藤先生。今、鳴瀬さんという方が面会を求めてお越しになってるんですが」
1Fの事務室でパソコンに向かっていたおれは、事務員の女性に声を掛けられて我に返った。年明けに迫った最後の模擬試験の、数学の問題を作成しているところだった。
「鳴瀬さん?」
「ええ。なんでも先日の件でお礼を申し上げたいそうで――。どうします? 応接室の方にお通ししましょうか?」
何のことか分からなかった。鳴瀬などという人物に心当たりはないし、先日の件と言われてもすぐ思い当らなかったからだ。
が、見れば受付カウンターの向こうに眼鏡をかけた初老の男性が立っていた。背が高く痩せた体格で、高級なスーツを着こなす姿はまるで英国の執事(バトラー)のようだった。紳士という言葉を具現化すれば、たぶん彼のような存在だろう。
「なんだか分かんないけど無下に追い返すわけにもいかないですしね。いいですよ。おれが応対します」
「じゃあお願いします」
と、事務員の女性が引き下がった。まさかおれをピンポイントで狙った詐欺とかではないだろう。
「紀藤ですが、なにか……?」
カウンターの前に立って自己紹介すると、鳴瀬とやらいう老紳士が静かに目礼した。
「お忙しいところ、急にお呼び立てして申し訳ございません。私は西九条家の執事を仰せつかっております鳴瀬と申します。本日は御当主西九条兵衛輔(ひょうえのすけ)様のお申し付けにて、紀藤様に御礼の品を差し上げに参った次第でございます」
「はぁ……西九条家? 御当主?」
まるで戦国時代の家老が他家に参上したみたいな口調だ。あまりに慇懃な口振りにおれは少し戸惑ってしまった。
「先日は聖羅様を窮地からお救い頂きまして誠に有難うございました。聖羅様は兵衛輔様にとって大切なお孫様ですので、非常に感謝申し上げている次第でございます」
「はぁ……聖羅様? 窮地?」
おれは呆けたように繰り返すしかなかった。未だに何のことか見当がつかない。
すると鳴瀬老人が言った。
「先週の木曜日、聖羅様に狼藉を働こうとした輩からお救い頂いた件でございます」
「ああ。あれか」
やっと合点がいった。
先週の木曜日、おれが授業の合間を縫って近くのコンビニエンスストアに行くと、店の前の駐車場で一人の女の子がDQNに絡まれていたのだ。S学校6年生くらいの美少女で、かなり迷惑そうな顔をしていた。
絡んでいたのは偏差値ゼロくらいの高校生2人組だった。女の子の腕を掴んで「遊びに行こう」とか「おっぱい大きいよね」とか騒いでいた。
おれは無意識のうちに助けに入っていた。2人組に近づいて「お前らどこの学校?」と凄んで見せたのだ。
タバコの1本も吸えない今時のDQNである。おれが声を掛けると歯向かってくることもなく、ペッ、と腹いせ代わりに唾を吐きながら逃げて行った。たぶん、学校に通報されることが怖かったのだろう。二昔前の不良とは大違いだった。
「その件でしたらお礼なんて別に。ただ当たり前のことをしただけですので」
「いえいえ、そうは参りません。御恩を受けたならばそれに報いるのが世の習いでございます。このまま御礼の品も差し上げず引き下がってしまっては、あとで私が兵衛輔様からお叱りを頂戴してしまいます」
なんだか応対しづらい人だ。敬語を駆使されるとこっちも言葉遣いに迷ってしまう。
「それよりその……どうして聖羅さんを助けたのが私だって分かったんですか?」
「その首に掛けられているネームプレートでございます。紀藤様にお救い頂いた聖羅様が、件(くだん)の際に覚えておいででしたので」
(ああ。なるほど)
おれは頷いた。この塾で働くスタッフは、社員もバイトもみんな首からネームプレートをぶら下げている。生徒や保護者が、誰が何という先生なのか覚えやすくするためだ。今時の企業ならコンサートスタッフでなくてもやっている習慣である。
「失礼とは存じましたがインターネットで調べさせて頂きました。すると紀藤様がこの進学塾で働いていると分かったもので、御礼の品を持参した次第でございます。不躾ではございますが是非お受取り下さい」
そう言って、鳴瀬老人が文庫本サイズのケースを差し出した。見るからに貴重品が入っていそうな装丁だ。表には見たこともない紋章と文字が描かれている。
「なんですか……これは?」
「西九条家に伝わる家宝の一つでございます。由来は詳しく存じ上げませんが、遥か昔に名の知れぬ聖者が作った懐中時計だとか。『刻(とき)を統べらんとする者、吾が至宝を手に。されどルクスリアの王に魅せられることなかれ。ユダが座らんとする時、円卓は彼(か)の方陣とならん』――と書かれてございます」
「……」
なんだかノストラダムスの予言みたいだ。どうして文字の意味を解読できたのか分からないが、金持ちそうだからそれなりの古文書で調べたのかも知れない。
いずれにしろ、恩返しとしてはもったいないくらいだ。
「お礼なら菓子折りくらいで十分でしたのに――。わざわざこんな貴重なものをお持ち頂いてすいません」
おれは頭を下げた。礼儀としてはいったん受け取りを断るべきだが、相手の様子からすれば無駄なやり取りに終わるだろう。
鳴瀬老人が再び目礼した。
「では確かに。繰り返しになりますが聖羅様をお救い頂きまして誠にありがとうございました。これにて失礼させて頂きます」
そう言って鳴瀬老人はビルを立ち去って行った。
「それなに?」
鳴瀬老人を見送ってデスクに戻ると、向かいの席の塾長がすぐケースに興味を持った。前の塾長とは正反対で、かなりテキトーな人である。
「西九条家のお嬢様を不良から助けたお礼だそうです。なんだかよく分かんないですけど、遥か昔にどっかの偉い人が作った時計だって言ってましたよ」
「西九条家って……あの西九条家?」
塾長が意外な反応を見せたのでおれは聞き返した。
「有名なんですか?」
「有名もなにも、西九条家って言ったら聖ブレスト学園の創設家じゃないか。そんな名家のお嬢様を助けたなんて、紀藤くんも結構男気あるねえ」
「……」
塾長に言われて思い出した。そう言えば、西九条家は聖ブレスト学園の創設家だ。西九条兵衛輔がたった一代で超有名セレブ校に育て上げ、今では多種多様な教育事業を展開しているエデュケーション・コンツェルンである。巷ではライバル校である聖フォレスト女学院と犬猿の仲とされているが、実際は犬猿の仲どころか刎頚の友というのが分かっている。なぜなら、この塾に通う両校の生徒がかなり仲がいいからだ。もし噂通り犬猿の仲ならば、この塾では乳バトルとか喧嘩とかが絶えないだろう。
(なるほど……西九条家のお嬢様か。どうりでセレブな感じがする女の子だったんだよな)
おれは心のなかで頷いた。執事の一人や二人いてもおかしくない家である。
「で……どんな時計?」
と、塾長が興味を示すのでおれは早速ケースを開けてみた。
すると中には鳴瀬老人が言った通りアンティークな懐中時計が入っていた。銀色で、いわゆるハンターケースと呼ばれる上蓋がついたタイプだ。名の知れぬ聖者が作ったと聞いたせいか、なんとなく厳かで神聖な雰囲気を感じる。オークションに出せばどれくらいの値が付くのだろう。
――と。何気なく上蓋を開けてみたおれは眉をひそめた。長針も短針も秒針も止まっていたのだ。時刻もズレていて12時00分を指している。
「なんだ、壊れてるじゃん。偽物なんじゃないの?」
塾長が鼻で笑った。わざわざ壊れた時計を礼品にするとは一体どういうつもりなのだろう。
「まぁ時計は持ってますし、これはこれでアンティークとして部屋に飾っておきますよ。秘密めいた聖者の時計を持ってるなんて、なんか格好いいじゃないですか」
おれは負け惜しみみたいに答えて、時計上部についたボタンらしき突起を押してみた。あるいはそれで動き出すか、ネジでも巻く仕組みなのかも知れない。
実際、それで秒針が動き出した。なんだ、壊れてるんじゃなかったのか。
そう一瞬だけ安堵した時、おれは一つ不思議なことに気がついた。
(あ、あれ!? なんで秒針が逆周りに動いてるんだ……!?)
秒針が文字通り反時計周りに時を刻んでいた。ローマ数字で刻印された指針を、12……11……10……9……と遡って指しているのである。そして秒針が一回転すると、長針がわずかに動いて11時59分を指した。秒針どころか長針まで反時計周りだった。
(なんだこれ? 全然時計の役目果たしてないじゃん)
時間は進むものである。SFじゃない限り時間軸は簡単に超えられるものではない。仮に超えられたとしても、グランドファーザー・パラドックスなどの矛盾をどう解決するというのだ。
「……」
おれは暫く奇怪な懐中時計を見つめていた。
けれどどうやら秒針が遡ったからと言って、時間も逆戻りしたようではなかった。鳴瀬老人に応対した時間に、塾内の様子が変わらなかったからだ。
「塾長。見て下さい。これかなり手の込んだ時計ですよ。針が反対に動くんです」
そう自慢げに見せびらかそうと思ったおれは、そこでさらに驚いてしまった。塾長が静止していた。……いや、フロアにいる全ての人間が静止していた。
(なんだよこれ――!?)
にわかには信じられなかった。時計が動き出した途端に世界が停止したのだ。完全に物理法則に違反している。いや、法則違反どころの騒ぎじゃないじゃないか。これではまるでAVの時間よ止まれシリーズだ。
「……」
と、そう考えたおれは、独り身のアラサーらしく不埒なことを思いついてしまった。ほんとに時間が止められるというのなら、教え子達にイタズラし放題じゃないか。おっぱいを揉んだりスカートを捲ったり、無垢な唇を奪いまくったり――。
おおっ。想像しただけでもテンションが上がる。この塾に通う生徒のなかには、おれが目をつけている『お気に』が何人もいるのだ。
でもどうやったらまた時間が動かせるんだ? それにタイムストップには制限があるのだろうか?
『刻(とき)を統べらんとする者、吾が至宝を手に。されどルクスリアの王に魅せられることなかれ。ユダが座らんとする時、円卓は彼(か)の方陣とならん』
鳴瀬老人が言った言葉が思い出された。
『刻(とき)を統べらんとする者、吾が至宝を手に』という部分は分かる。時間を制御したければこの時計を使えということだ。
だがルクスリアの王とかユダなんたらの意味が分からない。それこそノストラダムスの予言にあった『アンゴルモアの大王』とか『マルス』とかいった言葉と同じレベルだ。どう頭を捻っても答えが出てこない。なんかどっかで聞いたような気もするが、今のおれには思い出せなかった。
まぁいいや。『お気に』の教え子にイタズラできるなら死んだって構わないのだ。たぶん、またボタンを押せば時間は元に戻るのだろう。
そう見当をつけてボタンを押したおれは、自分の推測が正しかったことに気がついた。さっきまで氷像みたいに静止していた塾長がまた動き出してキーボードを叩き始めたのだ。
フロアのなかにも活気が戻る。みんなが動き出して喧騒が戻った。
逆に不思議なからくり時計の針は、また壊れたみたいに時を刻むのを止めていた――。
「ね――ぼっち。今年のクリスマスは誰と過ごすの? やっぱ自宅待機?」
時計をポケットに忍ばせたまま教室に入った途端、おれは一人の女子生徒に声を掛けられた。朝比奈C学3年の宮間遥香である。廊下や自習室でおれの姿を捕捉するなり、いちいち絡んでくる面倒くさい『お気に』だ。おっぱいが超C学生レベルなのはいいが、大人を馬鹿にする態度はなんとも苛立たしかった。
「うるせぇな。おれが誰とどんなクリスマスを過ごそうが宮間には関係ないだろ。他人のこと心配するより自分のこと考えな。汗臭い靴下枕元に置いてるとサンタさんが逃げるぞ」
「あは。やっぱ今年も自宅待機なんだ? かわいそうに。……彼女がいないなら私が代わりにデートしてあげよっか? 駅前のイルミネーションとか綺麗だよ」
「おれとデートする暇があるなら宮間だってぼっちだろ。コンビニのケーキで独り淋しく楽しんでな。特別にシャンパンの1本くらい許すから」
売り言葉に買い言葉である。おれがこう言えば必ず彼女がああと返事を返してきた。大喜利並みの即答にはまったくもって感心するばかりだ。一体、どんな脳構造をしているのだろう。
もっとも、他の生徒達にとっては恒例の漫才である。おれと宮間の掛け合いを無視するかのように、授業開始5分前の教室は色んな学校のC学生達でざわめいていた。もう一人の『お気に』である望月恵理子も窓際の席でスマートフォンを弄っている。
「C学生にお酒勧めるとか先生失格だし。塾長さんにチクったらクビにされるよ」
「クビで結構だよ。そうすりゃ宮間と永遠に会わなくて済むんだからな」
「そんなこと言ってェ。ほんとは私のこと大好きなクセに。照れなくていいからデートしようよ。毎年自宅待機だとリア充になれないよ? もうすぐ三十路になるんでしょ?」
(……ああ、くそっ。ほんとムカつく生徒だな。ぼっちとかリア充とかいちいちおれの悩みを突くんじゃねぇ。的確過ぎて笑えないだろうが)
楽しそうにからかってくる女子生徒におれはふと仕返しの方法を思いついた。そうだ。こっちにはルクスなんたらの時計があるんだ。言葉で勝てないなら魔法の力で勝ってやる。
そう考えたおれは、ポケットに忍ばせたあの時計のボタンを押してみた。
するとその途端、さっきの事務室と同じように世界の時間が停止した。今まで喧騒に溢れていた教室がしんと静まり返り、すべての生徒が石像と化したのだ。もう、宮間の生殺与奪はおれの手の中にあった。
(……ざまぁみろ、宮間。これがおれからのクリスマスプレゼントだ。今まで散々からかってきた礼だから素直に受け取りやがれ。お前の身体はずっと前から気になってたんだよ)
「……」
教壇の前でピタっと止まった『お気に』の顎を、おれはキスを迫るガールズゲームの王子様みたいに持ち上げてみた。そして一瞬も躊躇することなく唇を重ね合わせる。
現役C学生のリップは柔らかく滑らかだった。おそらくはファーストキスだろう。宮間に彼氏がいるとか出来たとかいう噂は、これまで一回も聞いたことがないのだ。
『お気に』の唇を本能の赴くままむさぼる。音を立てて吸いまくり、しつこいくらいに舌を絡めて――。
時に歯がかちかちとぶつかることもあったが、出掛ける前にデンタルリンスでも使ってきたのか宮間の口は爽やかなミントの香りがした。ずっとむさぼっていても飽きないくらいに。
だが唇より何より、おれが気になるのは宮間のバストだった。偶然披露してくれた胸チラや透けブラでち○ぽを慰めたことが、一体、何回あるだろう。
(C学生のクセにこんなおっぱいしやがって。Dカップか? Eカップか? おれが触って確かめてやるよ。デートしたいくらいおれのことが好きなんだろ?)
そう心のなかで囁いて宮間の巨乳を鷲掴む。
学校のジャージを豊かに盛り上げるふくらみは弾力があって張りも強かった。おっぱいはみんなマシュマロみたいに柔らかいものだと思い込んでいたおれは、その意外な触り心地に驚いてしまった。柔らかいというよりかたいのだ。
(……今日はどんなブラ着けてるのか先生に見せてみろ)
時間を止めての服装チェック。罪悪感と興奮とでのぼせそうなシチュエーションだ。妄想校則第一条第一項『宮間のブラジャーは大人びていなければならない。スポーツブラは論外とする』……お、おおっ。かわいい――合格だ。
ジャージをキャミソールごと捲り上げてみると、年齢不相応に成長したバストを3/4型のブラジャーが守っていた。色は水色に近いグリーンで、カップ全体に蝶か花をイメージした刺繍が施されている。ワイヤーもつまんないストレートタイプではなく、くねくねと蛇行したレース素材だった。
(サイズはE65……。ということは、宮間のバストは85センチか。Fカップになるのも時間の問題だな)
谷間が半分こぼれている。C学生のクセにこんな贅沢に成長するなんてエロ過ぎる限りだ。クラスの男子におかずにされていても文句は言えないだろう。
おれは宮間の巨乳を揉みまくり、こぼれおちた谷間に顔を埋めてみた。そして震える手でカップを捲り、真っ白な乳房を観察する。超C学生レベルに成長したバストはお椀型にふくらむタイプだった。乳輪が少し大きめで、豆粒大の乳首がちょこんとのっている。もちろん突起はしていないけれど、欲求不満のおれには堪らない眺めだった。
おれは宮間の乳首にしゃぶりついた。大きく張りのあるふくらみを揉みながら、飢えた赤ちゃんみたいに。現役C学生にこんな変態プレイができるなんて、ほんとあの懐中時計に感謝だ。
やがて宮間のEカップで授乳プレイを満喫したおれは、次に教え子の下半身に興味を持った。じかにま○こを見たことがないアラサー男である。実際のところどうなっているのか気になってしかたなかった。
(宮間のま○こ見るからな)
「……」
聖者の時計に支配された教え子は微動だにしない。
おれは痴漢するみたいにまずお尻を撫で回し、そして中指でそっと股間をさすってみた。
ま○こだから触った感触が扁平なのは当たり前だが、女体を伝聞レベルでしか知らないおれにとっては感動の体験だった。ほんとに女の子にはちんこがないのだ。棒も袋もなくただ純粋に扁平なのである
おれはぽうっと紅潮する頬を感じながら宮間のジャージを下ろした。
ブラジャーとお揃いのショーツがお披露目になって愚息をいっそう狂喜させる。それをゆっくりと膝元まで下げてみると、宮間が秘密にしているもう一つのパーツが露わになった。
(これが宮間のま、ま○こ……ごくん)
鼻血がぶっ飛びそうな眺めだった。大人になりかけた割れ目を守るため、スリットの上部からわずかな陰毛が生え始めている。くにくにとした柔肉に沿って中指をあてがってみれば、乾いた肉壁の向こうに小さな突起を見つけた。それがクリトリスなのは分かったが、なぜかそれ以上指を入れるのは難しかった。やはりま○こは噂通り濡れていないと挿入が厳しいのだろうか。
(……せっかく目の前の前に宮間のま○こがあるのに)
自由に弄れないもどかしさに悶々とする。
ただそんな状況で一つ理性に耳を傾けたことは、これ以上無理に触ってはいけないということだ。ただでさえデリケートな処女ま○こである。ヘタに弄繰り回して傷でもつけたら大変だ。もちろん、フル勃起をねじ込むなんて論外である。
おれは宮間のま○こを見れたことで満足し、乾いた肉壁から手を離した。
代わりに目を付けたのはお尻だ。ミニスカートのまま階段を上がってパンチラを見せたり、挑発するような前かがみ姿勢でパンティラインを浮かせたり――、彼女のそれは何回ラッキーな思いをさせてくれたのだろう。女運が皆無の男にとって、チラリズムは人生に希望を与えてくれる一瞬の光なのだ。
おれは氷像みたいに固まった宮間を動かし、文字通りリアルラブドールにした。ショーツを膝元に下げたまま教卓に手をつかせ、お尻を突き出させたのである。
(ハァハァ……見ろよ、宮間。宮間のおっぱいで先生のち○ぽこんなになっちゃったぞ……ハァハァ、ハァ)
いわゆる立ちバックの姿勢を取った教え子の背後に回り、一瞬も躊躇することなくフル勃起を取り出す。現役C学生のお尻は黄金比の造りだった。子供みたいな小ささを残しながらも、一方で大人みたいなエロさを兼ね備えているのだ。おれは宮間の桃肉に我慢汁をなすりつけ、そして割れ目に沿ってフル勃起を挟み込んだ。
(ああっ、気持ちいい――っ……ぃ)
念願だった尻挟み。宮間のお尻はおっぱいと違って張りも弾力もなく、ただただ苺大福みたいに柔らかかった。ゆっくりと腰を動かすとペニス全体が心地よくくすぐられる。『お気に』をバックで突いている錯覚も甘美だった。
おれは時に激しく腰を動かし、時にスローテンポで擦りつけ、教え子の桃尻を楽しんだ。
根元を摘んでぺちぺちとたたくと子供以上大人未満に成長したお尻がぷるぷると揺れた。あるいは先っぽを割れ目に沿って這わせると、最も下の部分で、生えかけの陰毛が海綿体に触れた。くにくにとぶつかる柔肉はま○こだろう。背後から見るそれはまるで明太子を二つ並べたかのような眺めだった。
おれはさんざんに宮間の尻コキを堪能し、やがて猛烈な幸福感とともに精液を解き放った。勢いよく飛び散ったそれはC学生の桃肉を穢し、壁を這うナメクジみたいに垂れ下がっていった――。
(……なぁ望月。先生のち○ぽどうなってる? 照れないでいいから言ってみてよ)
「……」
宮間の尻コキで射精を終えたおれは、時間を戻すことなくもう一人の『お気に』のもとへ行った。窓際の席でLINEをやっていた望月恵理子である。おっぱいは宮間の足元にすら及ばないが、顔は妖精並にかわいい美少女だった。
「……」
もちろん、ルクスなんたらの時計に支配された彼女はうんともすんとも言わない。だが、おれの頭のなかでは彼女との会話がはっきりとイメージされていた。
(え〜……っ、なんか大きくなってる。勃起って言うんでしょ、それ)
(宮間のお尻が気持ち良すぎて精子出しちゃったんだよ。C学生のクセにEカップあるとか贅沢だよな。望月は何カップあるの?)
(……)
(誰にも言わないから教えてよ。ブラはもう着けてる?)
(……)
妄想のなかでも『お気に』が黙った。いっこうに萎える気配のないフル勃起から視線を逸らすように、俯いて頬っぺたを赤くしながら。
(答えないなら触って確かめちゃうからな。望月のおっぱいもずっと気になってたんだ)
(ダメ……っ)
と、両腕を抱えておっぱいをガードする彼女。だが現実にはLINEをじっと見つめている姿勢である。制服の上から胸を触ってみると、わずかにふくらんだ盛り上がりがおれの手のひらに収まった。
(あ……かわいい。ブラ着けてないってことはまだAとかAAくらい?)
(どうせぺちゃパイだもん……。遥香ちゃんのおっぱいとか半分分けて欲しいよ)
妄想のなかの彼女が恥ずかしそうに答えた。この年頃にはこの年頃なりの、カラダに関する悩みが色々とあるのだ。
おれは言った。
(望月にお願いがあるんだけど)
(うん?)
(先生のち○ぽ舐めてくれない? 宮間があんな格好だからお掃除フェラしてもらえないんだ。恥ずかしいと思うけど、望月におちん○ん舐めてもらったら嬉しいな)
仕返しをくらった巨乳C学生は、教卓に手をついたバックスタイルのまま固まっている。
別に彼女でお掃除フェラさせても良かったのだが、リビドーの歯止めが利かなくなったおれはもう一人の『お気に』に食指を向けていたのだった。
(やったことないもん。無理だよ)
(そんなこと言わないで。ほんのちょっとでいいから。ね――お願い)
(……)
望月が悩んだ。時間が止まっているのだから無理強いしても構わないのだが、おれは彼女との妄想を楽しみたかった。
やがて妖精並の美少女が言った。
(ほんとに……ほんとにちょっとだけ?)
(うん、約束する。望月はただお口開けていればいいから)
そうしておれは、LINEを操作する『お気に』の顔をこちらに向けさせると、無垢な口を開かせてフル勃起をねじ込んだ。
能動性ゼロの静止世界だから望月からフェラすることはない。けれど、現役C学生の口に飲み込まれたち○ぽは確かな快感を覚えていた。
生温かいのだ。生温かくてヌルヌルとくすぐってくるのだ。
(ハァっ――気持ちいいっ。やったことがないとか言って、望月、フェラ巧いじゃん)
「……」
(宮間のお尻でイッたばっかりなのにもう出そう。ち○ぽすっげぇ気持ちいいっ)
「……」
微動だにしない『お気に』の口にハァハァとフル勃起を出し入れする。
連続的に望月の歯がち○ぽに擦れたが、むしろカリ首や裏筋に触れて快感度が倍増した。
おれは激しく腰を動かし、やがて数分も経たないうちに二度目のオルガズムを迎えた。
(っあ、あ……い、イク――――っ!!)
射精直後の二発目は、腰が砕けるほどの快感だった。全神経が射精管の一点に集中し、真っ赤に膨張した亀頭がびりびりと痺れたのだ。膝が震え、望月の肩に掴まっていなければ卒倒する悦楽だった。
気がつけば、望月の口から白濁した粘液が溢れ、唇の端から涎みたいに滴っていた。
「げほっ……ごほっ……」
二人の『お気に』と夢みたいな悪戯タイムを終えると、おれは宮間の服装を元に戻し、それからルクスなんたらの時計をまた停止させた。こっそり針の動きを見てみれば、11時59分だった時刻が11時36分を指していた。
知らぬ間に口内発射を喰らった美少女が青臭い粘液にむせ返っている。
「どうしたの? 恵理子ちゃん」
「ん……なんか分かんないけど口に……おえっ。げほっ、ごほっ」
顔をしかめながら口をおさえ、望月が慌てて教室を出て行った。
「どうしたんだろ?」
「さぁ……」
少しやり過ぎたかな、という後ろめたさを覚えつつ、おれは惚けてみせた。
「で……話は戻るけどデートはどうするの? ほんとはしたいんでしょ、私と」
「遠慮する。宮間とかもうお腹いっぱいだし」
「はぁ? 意味分かんないから」
Fカップの教え子が言った。
「それより早く席に戻れ。そろそろ授業始めるぞ」
おれが命令口調でそう言うと、宮間は不満げに頬っぺたを膨らませながら席に戻った。
ほんとにお腹いっぱいなのだ。今のところは――。
※
“時を統(す)べらんとする者、吾が至宝を手に。されどルクスリアの王に魅せられることなかれ。ユダが座らんとする時、円卓は彼(か)の方陣とならん。”
聖者ヴァリニャーニ著『白魔術体系』より。
(To be continued)