麻里子には年上のいとこが東京にいる。
名前は麻美。
今年短大を出てイベントコンパニオンをしている。
麻里子ほど巨乳ではないが、168cmのすらりとした長身に目鼻立ちの整った垢ぬけたルックス。
麻里子とは年も近く、女の子同士ということもあり毎年のようにどっちかの家へ遊びに行ったり来たりする仲だ。
東京滞在中のある日、麻里子は「ねー今日さー、友達がイベント出てるんだけど見に行きたいから付き合ってくんない」というので一緒に行くことにした。
会場は有名な自動車ショーなども行われる大きな会場だ。
麻里子もテレビで見たことくらいはあるので「あーこれが有名なあそこか」とお上りさん状態で会場に入った。
そこは田舎に住んでる麻里子には別世界だった。
広い会場にごった返す人波、数知れないほど多くのブース、そして何百人というコンパニオンたちがあでやかなコスで会場を彩っている。
しかし横にいる麻美も彼女たちの同類なのだ。
「いいなー私もここに立ちたい」
容姿には多少なりとも自信がある16歳の女の子ならそう思わないほうが不思議だろう。
麻美が休憩中の仕事仲間としゃべってると「おー麻美ちゃんお疲れ」と声をかける男性がいた。
それは麻美の所属する事務所の社長だった。
麻美はもう在籍して3年目ということもあり、友達のようにしゃべっている。
すると麻美が「社長、今日は未来の有望株連れてきたよ」と麻里子を社長に紹介した。
社長はいきなり「どこの事務所?」と尋ねるので麻美が「やだー社長、この子まだ高校生よ。あたしのいとこなの」と説明すると「いやー大人っぽいし高校生だとは思わなかったよ」とびっくりしていた。
麻美が「この子すごいスタイルいいの。あたしなんか全然負けてるし」というと社長は「実はパッと見た時からこの子いけるな、と思ったんだ。素材もいいし磨けばもっと光るよ。でも高校生じゃすぐ仕事してもらうわけにはいかないしな。」と話は終わるかに思えた。
すると麻美は「麻里子、もしこの仕事やりたいんだったら東京の大学に入ればいいじゃん」と言い始めたのだ。
そうだ、東京出てくればこの仕事ができるんだ、自分もこんなビッグイベントでおしゃれなミニワンピ姿をみんなに見てもらえる、麻里子はそれを想像すると笑顔があふれた。
「ねー社長、この子が卒業するまで待って。そしたらあたしが責任もって事務所入れるから。いいよね、麻里子」と早くも話を決めてしまった。
社長も「こんな子、めったにいないよ。待ってるからぜひおいで」と言ってくれたのだ。
地元に帰ってからも麻里子はこの時のことが忘れられなかった。
東京の大学に行きたい、できればおしゃれなミッション系がいいなー、そう考えると勉強にも張り合いが出て成績もぐっと良くなった。
そして3年生の夏休み前のこと。
期末テストの終わった後、進路相談があり、麻里子は担任に行きたい大学の名前をいくつか挙げると、その中の一校にたまたま麻里子の学校に1人だけ推薦枠があった。
高校は一応進学校とはいえ田舎の生徒数も少ない学校なので、有名大学の推薦はさほど多くはない。
その枠は学校でもトップクラスの子にしか与えられない枠だ。
「先生、私じゃだめですか」と訊くと「ちょっと成績がなあー。それに実はほかにも希望者がいてな」という。
「えー誰ですか」と訊くと「そりゃ言えないよ。女子とだけ言っておくよ」とはぐらかされてしまった。
しかし小さな学校なのでそれがだれかわかるのに時間はかからなかった。
それは同じクラスの真奈美だった。
成績は学年でもトップクラス。
しかし麻里子はなぜか負ける気はしなかった。
成績では劣っていても、女としての魅力なら小太りでどう見てもかわいいとは言えない真奈美など物の数ではなかった。
「勝負よ」
そう意を決した麻里子はただでさえ普段から短いスカートをさらにもう一回折り上げて夏休み明けに職員室を訪れた。