「もう、ブラジャーしてるの?」
姉はひそひそ話をするかのように、少し体を前に乗り出して、にこやかにそう聞いた。
I, J, Kの3人は互いを見て、おそるおそる頷いた。
「・・・はい、一応」
「すごーい。5年生でもうブラジャーしてるんだぁ!
最近の子は発育が早いね〜。」
姉は再び胸を張って手を添えると
小学生たちの緊張した視線に気付かないかのように、
遠い目をして、
「私が小5の時なんて、ぺったんこだったなぁ・・・」
と呟いた。
「え!」「本当ですか?」
3人が驚きを隠せず、思わず言葉を発する。
眼前にある大きな膨らみからは、とても想像できない。
しかし、これこそ姉の思うつぼだった。
「そうよ。」
姉は視線を自分の胸に落とすと、ゆっくりした口調で語りだした。
ときどき、両手で膨らみをなぞりながら。
「私は発育が遅くて、中学に入ってようやく膨らみ始めたの・・・。
小学生の頃は、発育が早い子がとっても羨ましかった。
からかったり、自慢してくる子もいて、辛いときもあったしね。」
「でもね、膨らみ始めたら急に成長して、
中3くらいで今くらいのサイズになったの。
周りの子は驚いてたわ。
人の成長期っていつくるかわからないんだよね。」
そして急に妹の方を向いて言った。
「あんたもまだぺったんこだけど、私と同じ遺伝子だと思うから、大丈夫よ。」
妹はびっくとしたが、小さく頷いた。
妹はここにきて、ようやく姉の作戦がわかった。
思春期の胸のサイズなど、いつ逆転が起きるかわからない。
自慢していると後で恥ずかしい思いをするということを暗にほのめかし、妹をいじめている3人をけん制したのだ。
そのために、説得力のある胸のサイズが必要で、姉は限界まで胸を盛ったのだ。