Extra Episode「おれの妹がこんなに気持ちいいはずがない」
ふと、ドアをノックする音が響いたのはもうすぐ日付が変わろうとする頃だった。
WORDのひな形で履歴書を作成しておれは、それが妹の遥香だとすぐに分かった。妹のノックの仕方は、初めから入室を強要するような乱暴なたたきクセがあるのだ。
「なに? 開いてるよ」
おれはディスプレイを見ながら無愛想に答えた。資格欄に入力された情報は「普通自動車免許」と「英検準二級」である。今時、掃いて捨てるほどいるなんのプラスにもならないスキルだ。もっと特殊な資格さえ持っていれば――と、就活浪人になった今になって改めて後悔する思いだった。
遥香が遠慮なくドアを開けた。
その途端、おれは妹の格好に椅子ごと引っくり返ってしまった。
「おゎっ……お前、なんて格好してるんだよ! 風呂上がりならパジャマかスウェットに着替えて来いっ。なんでバスタオル一枚なんだ!」
「なんで? 兄妹なんだから別にいいじゃん。暖房も効いてるし寒くないよ??」
「そういう問題じゃなくて。ああっ……もう、髪は濡れてるし谷間は見えてるし、お前ぃには恥じらいとか羞恥心とかいう言葉はないのか」
「あるよ、それくらい。薄着の時には透けブラしないように気を付けてるし、学校の階段上がる時にはパンツ見えないようにちゃんとガードしてるもん」
「だったらバスタオル一枚で来るのが謎だろ。どこが花も恥じらう乙女なんだ」
遥香は朝比奈C学校に通う3年生だ。この通り天衣無縫というか無邪気というか、あっけらかんとした性格の明るい妹である。おかげで振り回されること多数。対極的な性格のおれにとっては、なんともめんどくさく扱い難い妹だった。
「このままじゃダメ?」
「ダメ。女の子らしくない妹は一歩も部屋に入れません。立入り禁止。KEEP OUT」
「……」
遥香がムスッと不機嫌そうに頬っぺたを膨らませた。入室を拒否られたことが気に入らないのだ。
が、そこは天性のポジティブさを持った彼女である。いったん自室に引き下がると、数分後にまたバスタオル一枚でやって来た。手にブラジャーとパンツを持って。
「じゃあここで着替える。パンツとブラジャー着れば入ってもいいんでしょ?」
「だ・か・ら! 着替えるなら自分の部屋でやれ。なんでおれの部屋で着替えるんだ」
「だって新しく買った下着、お兄ちゃんに見てもらいたいんだもん。安いけど結構かわいいデザインなんだよ。……ほら、花柄の刺繍がお揃いでかわいいでしょ?」
そう言って、駅前のランジェリーショップで買ってきたという下着を見せつける。オレンジ色で、C学生にはまだ早い大人びたデザインだった。ブラは普通でも、ショーツはレース素材でほとんど勝負下着だ。
「彼氏に見せろ。お兄ちゃんは絶対見ないからな」
目を瞑って背を向ける。戸籍上は兄妹でも血が繋がっていないのだ。いわゆるギャルゲーみたいな関係である。
遥香が部屋に入って来てバスタオルを脱いだ――という雰囲気を感じた。
おれは目と耳と口を塞いで必死に現実逃避した。妹の裸には絶対萌えない――という自信がなかったのだ。
「着替えたよ。一瞬でいいから感想聞かせて」
遥香が催促する。
おれは目を開けて振り向いた。
遥香が新しい下着を身に着け、くるりと一回転してポーズを決めた。
「どう?」
「はいはい、かわいいですね。じゃあそういうことで」
おれはぞんざいに追い払った。じっと凝視する勇気がなかったのだ。
「んもう……ちゃんと遥香のこと見て言ってよ。お兄ちゃんしか見せる男の人いないんだから」
遥香がふくれっ面をしておれの手を引っ張った。
そしてベッドの端に座らせる。10帖の部屋はフローリングでその辺の大学生と変わらない間取りだ。
「んなこと言っても妹の下着姿なんかガン見できるか。見せたいなら早く彼氏作れ」
一瞬、遥香が悲しげな表情を浮かべた。少し突っぱね過ぎたか――と、おれが反省した時、「あ……分かった!」と遥香の目が見開いた。
「分かった。お兄ちゃん、女の子の下着姿見たことないからテレてるんでしょ?」
「んむぐぐぐ……」
「やっぱりだ。……そう言えばずっと一緒に暮らしてるけど、お兄ちゃんの恋バナ聞いたことないもんね。休みの日も出掛けないし、家に女の子連れて来たこともないし――。ひょっとしてお兄ちゃん、彼女いない歴=年齢と一緒??」
「彼女いない歴とか死語だぞ。平成生まれが使う言葉か」
「ごまかさないで教えてよ。今まで付き合った人数は?」
「……」
リアルな感じで2、3人と嘯(うそぶ)こうかと思った。が、相手は手練れのお喋りである。ウソをついたところで突っ込まれるのは目に見えていた。
おれが黙っていると遥香が0人の意味に受け取った。
「かわいそう。大学院出の就活浪人だけでも不幸なのに、1秒も女の子と付き合ったことがないなんて悲惨だよ。27年間もなにしてたの? 告白くらいすればよかったじゃん」
「余計なお世話だ。告る甲斐性があればこんな境遇にないよ」
悲惨――という言葉がおれの心を抉った。時々、妹の言葉はナイフより鋭い。
「キスは? デートは? エッチは??」
「……」
年下の審問官が哀れな囚人を詰問する。そのすべての質問に、おれはただ唸って言葉を詰まらせるしかなかった。
「なんか哀れ過ぎて泣けてくる。リア充になれないなら私が相手してあげよっか? お兄ちゃんなら別にいいよ」
「阿呆言うな。実の妹とエッチなんかできるか」
「実の妹じゃないじゃん、血が繋がってないんだもん」
遥香の目は真摯だった。たまにおれを動揺させる、いつもとは違う眼差しである。
「それでもダメ。妹に手を出すのはモラルが許しません」
「モラルとかタブーとか、そうやって意気地ないこと言ってるからいつまでも彼女できないんだってば。エッチできるなって空気感じたら紳士ぶってないで素直に本能に従えばいいじゃん。優しいのはお兄ちゃんの長所だけど、行き過ぎるとかえってマイナスだよ。積極的に攻めて来て欲しいなって思うことが女の子にはあるんだから」
「C学生のセリフか、それ」
「C学生でも遥香は女の子です。もう子供じゃないんだし」
「……」
いつの間にか大人になったようだ。昔は一緒にお風呂に入ってもきゃあきゃあ騒ぐだけのガキだったが、今ではすっかり女になっている。男女間の機微を悟っているところなんか童貞のおれ以上だ。
「で……マセた遥香ちゃんはお兄ちゃんになにをしてくれるって言うんだよ」
「お兄ちゃんの経験値上げてあげる」
「経験値?」
「うん。ファーストキスとバージンは彼氏に捧げるって心に決めてるからダメだけど、それ以外のことなら全部してあげる。やっぱ自分のお兄ちゃんが27歳で童貞とか恥ずかしいもん。少しは女の子のこと知ってよ」
「キスと本番って言ったらエッチのスターラインとゴールだろ。それがダメなら中継地点も全部NGだろうが」
「そんなことないよ。お兄ちゃんの為なら他にできることもあるから。例えばほら――お兄ちゃんがたまにチラ見してくるおっぱい見せとか」
ベッドの端に座るおれの目の前に立つ遥香が、やや前かがみになってふくよかに成長したバストを見せた。オレンジ色のブラジャーからC学生とは思えない谷間が覗いている。
「わ……馬鹿。やめろって。目のやり場に困るだろ」
「見ていいんだってば。遥香が許可してるんだから」
必死で視線を逸らすおれの顔を、遥香が無理やり前を向かせた。
「どう? 遥香のおっぱい。85センチのEカップあるんだよ」
「サイズなんか聞いてない」
前かがみになったまま、遥香が左右のふくらみを手繰り寄せて深い谷間を作ってみせる。
その挑発的な行動におれの股間は不覚にも疼いてしまった。
「そんなこと言って、ほんとは『おっきいっ!』って心のなかで思ったでしょ? 聞こえたよ」
「思ってない」
「思ったって。じゃなきゃなんでおちん○んのポジション直したの」
(うっ――)
迂闊だった。妹のカラダから視線を逸らしたいばっかりに、己の本能に注意がお留守だった。決定的な瞬間を見られてしまった。
「反応した証拠じゃん。いい大人なんだから正直になってよ。お兄ちゃんがあんまりヘタレだと友達にも紹介できないってば。今度の週末に咲ちゃんと蓉子ちゃんが泊りに来るんだよ? 経験値ゼロの就活浪人がお兄ちゃんだなんて情けないってば」
遥香がフローリングの上にちょこんと座った。ちょうど正座を崩すような格好で。
おれは「ヘタレ」という言葉に少しかちんと来た。
「ヘタレで悪かったな。お前と違って好きでこの性格になったんじゃないんだ」
「じゃあ遥香と経験値積んでよ。そうすればお兄ちゃんは自信が持てるし、遥香も咲ちゃん達と対等にガールズトークできるんだもん」
(対等……?)
その言葉におれは少し引っ掛かった。なんでお泊り会のガールズトークに対等性が必要なんだ。経験値が色々だから夜のお喋りは楽しいんじゃないか。さしものおれにも経験はある。修学旅行で相部屋になった悪友達との夜更かしだ。やれ誰が好きだとか今カノとどこまで済ませたとか、お互いの経験値差があるから夜の青春に彩が添えられるのだ。
……そうか。なるほどな。だから遥香はおれの部屋に来たのか。
おれは遥香の真意を悟った。
「なに? なんで笑ってるの??」
「いや……咲ちゃんと蓉子ちゃんは遥香と違うなって思って」
「なにが」
遥香が少しウロたえた。
「お前、お兄ちゃんの経験値を積ませようと思って来たんじゃない。その逆だ。お兄ちゃんに経験値積ませてもらおうと思って来たんだろ」
「ちょ、ちょっとヘンなこと言わないでよ。私はただ……」
「ただなんだ? 咲ちゃんと蓉子ちゃんがもうエッチの経験済ませてるから焦ってるんだろ。自分だけ経験値ないのが恥ずかしくて。じゃなきゃバスタオル一枚で部屋にやって来る理由がない。仮にも思春期のC学生なんだから」
立場が逆転した。普段は遥香が一方的におれを振り回しているが、ごく稀におれが主導権を握る時がある。それは遥香の心理を不意に衝いた時だ。大喜利並みに頭の回転が速い遥香でも、想定外で核心を衝かれると慌てるクセがある。今がそれだ。
「ほんとに遥香はただ新しい下着をお兄ちゃんに見せたかっただけで……。咲ちゃんと蓉子ちゃんが私より経験値が上だなんてそんなことないし」
「だったら下着に着替えてからお兄ちゃんの部屋に来ればいいだろ。なにもバスタオル一枚で来る必要はない」
「……」
「それに咲ちゃんと蓉子ちゃんが遥香と一緒で経験値がないなら、最初から3人とも対等な関係だろうが。どうしてお友達と同じ土俵に上がりたがる?」
「……」
遥香がさらに言葉を詰まらせた。図星だ。もはや言い訳を考える余裕もない。
「お兄ちゃんにはお見通しだぞ。いくら童貞の就活浪人でも、一応は心理学の学位を取った修士なんだから。遥香の言葉遣いとか態度で心は読める。……たぶん、風呂上がりのまま来たのはお兄ちゃんを誘惑できる可能性が高いと思ったからだ。『対等』という言葉を使ったのは友達に対してコンプレックスを持ってる裏返しだな。新しく下着を手に入れたのは……うん、きっと咲ちゃんと蓉子ちゃんに突っ込まれた時に誤魔化すためだ。私にはちゃんと勝負下着を見せる相手がいますよって。……どうだ? 意外と見当違いでもないプロファイリングだろ?」
遥香が白旗を上げた。もちろん、ポジティブなまんまで。
「あ〜……もうっ、お兄ちゃんってそんな頭良かったんだ。遥香の負けです。全部お兄ちゃんが言った通り」
遥香がぐったりと脱力して頭を下げた。今日はおれの勝ちだ。
「どうだ。参ったか」
「参りました。参ったから遥香の経験値増やして。キスと本番以外ならなんでもするから。咲ちゃんも蓉子ちゃんも彼氏とBまで済ませてるんだよ」
ABCとか平成になってもそんな隠語が息づいているとは。今時の思春期世代には、てっきり死語になっていると思っていた。
「つまりキスと本番以外で咲ちゃん達と対等になりたい……と?」
「うん」
「そうすればコンプレックスを感じずに恋バナできるからか?」
「だって咲ちゃん達にBの経験くらいあるって嘘ついちゃったんだもん。それなのに感想聞かれて答えられなかったらマズいじゃん。二人とも経験済みで感覚とか気分とか知ってるんだよ」
「……」
なんて阿呆なやつだ。お喋り癖が見栄っ張りになった典型だな。処女でも童貞でも当たり前のC学生なんだから、正直に経験値ゼロだって言えば良かったのに。
遥香が土下座した。
「お願い。一生に一度の頼みだから遥香とエッチなことして。お兄ちゃんがイヤがることは絶対要求しないし、この秘密は墓場まで持っていくから」
「墓場までとか大袈裟な。戸籍上の関係を除けば別に、普通の男女の関係だろうが」
「じゃあ遥香のお願い聞いてくれるの!?」
妹の顔がパッと明るくなった。
「う、うん……まぁ断らない気がしないでもない」
迂遠な答え方をしながらおれは視線を逸らした。確かに一生に一度くらい、女の子とエッチなことはしてみたい。してみたいが、相手が妹となるとやはり理性が邪魔をするのだ。例え血が繋がっていなくても兄妹なんだぞ、と――。ギャルゲーのようにはいかない、リアルゆえの葛藤だった。
「やったァ! だからお兄ちゃんのこと大好き」
早合点した遥香が抱き付いてくる。風呂上がりだから余計にいい匂いがした。
「ちょ……ちょっと慌てるなって。おっぱいがぶつかってる」
「ぶつけてるの」
願いを聞き入れてもらえた遥香が嬉しさを全開にした。ほんと恥じらいもなにもないヤツだ。おれとしては、もはやお兄ちゃんとしての役割を果たすしかないみたいだった。
「で――どんな経験値が積みたいんだよ、遥香ちゃんは」
「ええっとね……まずはおっぱい触られてみたい。咲ちゃんが言ってたんだけど、彼氏におっぱい揉まれたり乳首イジられたりするとすごい気持ちいいんだって。なんか体中に電気が走るみたいになって、自分で触る時とは全然違う感覚だって言ってた」
「自分で触るって……咲ちゃん、C学生なのにもうオナニーしてるのかよ」
「オナニーくらいするよ。遥香だってたまにやるし」
「……」
おれは唖然とした。まさか遥香が自分でおっぱい揉みながらま○こをイジっているとは。
「まぁイッたことはないけど」
「だろうな。オナニーでイキまくりの女子C学生なんて聞いたことがない」
いたら興醒めだ。エロ過ぎてほとんど漫画の世界である。
「ね――遥香のおっぱい触ってよ。ブラジャー脱がしたり乳首吸ったりしてもいいから」
遥香が甘えたように跨って来る。ちょうど、セクキャバのダウンタイムでキャバ嬢が迫って来るような姿勢だ。対面座位――といえば分かりやすいだろうか。
「じゃあお兄ちゃんも男だから遠慮しないぞ。遥香が言い出したんだからな、これは」
「分かってる。誰にも言わない。ヒミツにする」
遥香がこれ以上ないくらい純真な瞳をしておれの首に手を回した。
かわいい――と、正直おれは心のなかで思った。真っ直ぐに見つめてくる瞳が輝いていたのだ。いつもの生意気なC学生ではなく、女に成長した一人の妹だった。
おれはそっと両手を遥香のおっぱいにかぶせてみた。ブラジャー越しに感じた妹のおっぱいは大きく、手のひらに少し余るくらいだった。力を入れてみれば、ぷにゃっと、味わったことないマシュマロみたいな感触が伝わる。揉みがいのある弾力が特徴の、柔らかいおっぱいだった。
「柔らかくてあったかいんだな、遥香のおっぱいって」
「生理前だとカタいくらいに張っちゃうんだけどね。……でも今日は違うから強めに触っても大丈夫だよ。お兄ちゃんなら平気」
猫が飼い主に甘えるみたいに遥香がぎゅっとおれの首を抱き締めて来た。
おれはつまらないモラルの枷を外し、かわいい妹のために妹属性を解放した。
ブラジャーごとEカップのバストを鷲掴み、円を描くように揉みしだいてみる。ただ柔らかいだけじゃないモチモチ感が跳ね返り、手のひらが幸せに包まれた。左右の乳房を寄せて上げるとC学生とは思えない谷間がきれいな稜線を作った。
「んっ……んんふ」
遥香がくすぐったそうに微笑み、そして誤魔化しきれずに小さな喘ぎ声を漏らす。耳元に感じるその吐息は、もはや昔の妹ではなくなっていた。
「遥香のおっぱい、見てもいいか?」
「……うん」
遥香がこくんと頷いた。
おれは遥香に跨れたまま背中に手を伸ばし、ブラジャーのホックを探った。初めての経験なので手こずるかと思ったが、それは意外と簡単に外れ、留め金が離れると同時にストラップが緩むのを感じた。
ごくん……と一つ大きく生唾を飲み込んでストラップを二の腕まで下げてやる。
頬を紅潮させた遥香が順番に腕を抜き、やがて一呼吸置いてからカップを捲った。超C学生レベルに成長したバストはお椀型のきれいな巨乳だった。
「美乳なんだな、結構」
「身体測定の時によく言われる。『遥香ちゃんのおっぱい、大きいし形もいいよね』って――。乳輪が少し大きめなのが気に入らないけど」
遥香が左右の乳房を持ち上げて自分のバストを眺めた。
「確かに広めだけどコンプレックスを感じるほどでもないんじゃないか? むしろEカップもあるならこれくらいが普通だと思うぞ」
「そうかな」
と、遥香がさらに乳房を手繰り寄せた。
「こんなに大きかったら谷間におちん○ん挟めるだろ?」
「パイズリ? やったことないから分かんないよ」
「挟んでくれたら嬉しいんだけど、お兄ちゃん」
おれは遥香の目を真正面から見つめた。そしてパイズリを催促するみたいに乳首を吸ってみる。くすんだピンク色の乳首は哺乳瓶の吸い口みたいでおいしかった。
遥香がくすぐったそうに身を捩って頷いた。
「やり方知らないからヘタだけど、いい?」
「いいよ。遥香に挟んでもらえるだけで充分だ」
そうしてパイズリを承諾した遥香が跨るのをやめ、またフローリングにひざまずいた。
インモラルなおっぱい揉みで興奮したペニスはトランクスのなかで硬直している。ここ数日、自分で処理するのも怠けていたから射精欲も募っていた。妹の巨乳で初パイズリされたら何分持つのだろう。
遥香がスウェットを脱がせてきたのでおれは身を任せ、がっちがちにカタくなったフル勃起を披露した。見るのも見せるのも、昔、一緒にお風呂に入った時以来だ。
「あは。すごいおっきいんだけど、お兄ちゃんの」
「そうか……?」
「だってお腹までそり返ってるじゃん。おへそにくっつきそう」
遥香がまじまじとフル勃起を見つめた。笑っているのは思春期の好奇心を満たされた嬉しさを誤魔化すためだろう。
「触ってみればいい。カタいぞ」
と、おれは遥香の手を取ってフル勃起を握らせた。もう面倒だからスウェットの上着まで脱いで全裸になる。理性が崩壊して完全に素直になれた。
「すごい……笑」
「だろ? そのまま遥香がおちん○んを擦ってくれたら手コキ。咲ちゃんと蓉子ちゃんは経験したことないんじゃないかな」
「……」
その言葉に優越感を刺激されたのか、遥香がフル勃起を握ったまま手を上下させてきた。不慣れなシゴき方だが童貞のおれには感動の瞬間だった。自分でする時は全く違う、弄ばれているようなくすぐったさが棒全体を包んだのだ。
(結構気持ちいいな……遥香の手。力加減とかスピードとかちょうどいいじゃんか)
初挑戦とは思えない才能だった。
やがて遥香が手コキをやめ、またまじまじとち○ぽを観察し始めた。
「そんな間近でガン見されると、お兄ちゃん、恥ずかしいんだけど」
「だっておっきしたおちん○ん見るの初めてなんだもん。すごい不思議」
前後左右から顔を近づけて鑑賞する。遥香の髪が垂れて太ももに触れるとこそばゆかった。重力を受けてたわんだ乳房も視覚的にエロい。おれは挟んでもらうことを忘れ、邪なお願いをもう一つしてしまった。
「舐めてみて」
「うん?」
「遥香の舌でぺろぺろって」
遥香が一瞬だけ戸惑った。が、両手でそっとペニスを握ると、無垢な舌先を伸ばして裏筋を舐め上げたのだった。
「これでいい?」
「う、うん……く、くすぐったくて気持ち良かった、今の。そのまま舐めてくれる? ソフトクリーム舐める時みたいに」
従順になった遥香が言われた通りにする。ぺろぺろと何度も裏筋を舐め、例えようのない心地よさをおれに与えたのだ。
ただ、フェラ初体験だけあって舐め方が単調だった。おれがレクチャーしなければ何時間でも一か所だけ責める勢いだった。
おれはパーツ別に名称と舐め方を教え、天国みたいな妹フェラを味わった。竿の裏を往復させ、亀頭の扁平な部分をくすぐらせ、そして鈴口をちろちろさせたのだ。カリ首ごと亀頭を食(は)まれると、渦巻いていた射精欲が一気に溢れそうになった。
「も、もういいよ。ありがと。それ以上遥香に舐められたらイッちゃう」
「うん」
と、遥香がバスタオルで涎を拭った。C学生には咥え切れなかったらしい。ただおれが素直に初フェラをホメると、遥香が嬉しそうに微笑んだ。
「じゃあパイズリ。遥香のおっぱいでお兄ちゃんのおちん○ん挟んで」
「こう?」
遥香がおれの股座で立膝になり、左右の乳房を手繰り寄せて身体を密着させてきた。それはパイズリというよりもむしろ、寄せて上げたおっぱいをち○ぽに押しつけている感じだった。
「それでもいいんだけど、ちゃんとおちん○んを谷間に挟まないと」
「分かんないよ。どうすればいいの??」
下乳を持ち上げたまま遥香が聞いた。
「おっぱい寄せる前にまずおちん○んを谷間にあてがうんだ。お兄ちゃんが手伝うから」
パイズリ初体験のC学生に、いきなり女優さんみたいに片手でち○ぽを引き寄せつつ離れないように谷間に挟み込め――なんて要求は無理難題だ。最初は手順を追ってゆっくりと、パイズリのテクニックを学ばないといけない。
おれは遥香に股座でひざまずくように言い、谷間にはフル勃起の根元を摘んで自ら持って行った。そして、棒全体が谷間にフィットしたところでおっぱいを寄せて上げるようにレクチャーした。遥香が言われるがまま左右の乳房を手繰り寄せると、C学生の美巨乳にフル勃起が完全に挟み込まれたのだった。
「っあ――気持ちいいっ。遥香のおっぱい、柔らかくてすっごぃぷにぷにしてる」
「……そうかな。お兄ちゃんのおちん○ん、気持ちいい?」
「気持ちいい。おっぱいのなかでもっとカタくなってるの分かるだろ?」
こくんっ、と遥香が照れながら答えた。おれが喜んでいるのが嬉しいのだ。血の繋がらない妹を今まで以上に愛おしく思ってしまった。
「これからどうすればいい?」
「このままおっぱい揺らしてくれてもいいんだけど、滑りやすいともっと気持ちいいから唾垂らしてくれる? お兄ちゃんのおちん○んに」
おれも童貞だから経験があるわけじゃない。けれどそうするのがAVを観ての王道だと思っていた。
Eカップにフル勃起を挟んだまま、遥香が口いっぱいに溜めた唾を垂らした。それは谷間から覗く亀頭にゆっくりと垂れ落ちて、女子C学生とは思えないローションを作った。
「そうしたら身体を上下させるんだ。すりすりって、おっぱいをおちん○んに擦りつけるみたいに」
「こんな感じ?」
と、遥香がスローテンポで身体を動かした。
唾液で濡れたち○ぽが谷間のなかで滑る。フェラチオほど激しいくすぐったさはないものの、柔らかなふくらみが押しつけられている感覚は喜悦以外のなにものでもなかった。自分一人では絶対に味わえず、またそうされる確率も人生では低いのだから。
遥香が単調なリズムでパイズリを続け、時々、おれの感想を知るために上目遣いで訊ねてくる。おれはそのたびに「気持ちいい」と答え、健気な妹の頭を撫でてやった。
「おっぱいだけ揺らせる?」
次のステップに移った。身体を上下させるのもいいけれど、やはりパイズリの魅力は乳房だけを駆使したテクにあると思う。押しつけて身体を動かすくらいなら貧乳でもできるのだ。おっぱいを独立したアイテムとして扱えるのは巨乳だけの特権だ。
遥香がまごつきながら乳房を揺らした。いや――実際には揺らしているような揺らしていないような、そんな拙い動作だった。
「難しいよ」
遥香が手こずっていた。
「大丈夫。そのうちコツが掴めるから」
おれは励ました。C学生パイズリで愚息の射精欲はしっかり膨らみつつある。
思わず谷間から逃げてしまったち○ぽを挟み直し、遥香が左右の乳房を揺らした。不器用に下乳を持ち上げて揺らし、85センチのバストを波打たせたのだ。フル勃起は両サイドから柔らかな圧迫と摩擦を受け、気持ち良さを我慢汁に変えて表現していた。
「そのまま続けて。遥香のパイズリ、すっごい柔らかくて気持ちいいから」
「うん、頑張る」
遥香が左右の乳房を揺らし、時々、交互に上下させた。そうかと思えば身体をさっきよりリズミカルに動かしてフル勃起をしつこいくらいに擦り立てた。おっぱいで挟んだまま止まったのは少し疲れたからだろう。
だんだんやり方が分かって来たみたいで、気がつくと覚えてたてのテクニックをランダムに駆使していた。
「っあ――気持ちいいっ。もうすぐイキそう……」
遥香が交互に乳房を揺らした。おれがそれを一番気に入ったとどうして分かったのだろう。
やがて妹の谷間にち○ぽを預けて数分が経った時、堪えていた射精欲が怒濤のように湧き上がった。
「で、出るよっ。遥香のおっぱいで精子出すから見ててね」
「うん。お兄ちゃんが精子出すとこ見てる」
そうささやかれた途端、猛烈な快感がペニス全体を駆け巡ってスペルマが飛び散った。
それは遥香の谷間にこれでもかというほど溢れまくり、勢い余った一部が首にまで降り掛かった。初めての射精体験に遥香は一瞬だけ顔を背けたが、すぐに視線を戻して最後の最後まで見守ってくれた。
青臭いゼリー状の精液が妹のバストを穢している。その罪悪感に似た心地が余計に快感度を増幅させたのだった。
「すごい……いっぱい出た」
「ハァハァ、ハァ……ごめん、遥香のおっぱいに出しちゃった」
「ううん、お兄ちゃんだから平気。それよりどうだった? 遥香のパイズリ」
「さ、最高……これでお互い、経験値ゼロじゃなくなったな。ハァハァ」
遥香が満面の笑みを浮かべた。そしておっぱいに飛び散った精子を二人できれいにする。
……その夜は久しぶりに一緒に寝た。お互いの身体を触りっこしながら、愛情を確かめ合って――。
Extra Episode「おれの妹がこんなに気持ちいいはずがない」END