【乳口碑を訝る 其の二】
一般に言われる「母乳量に乳房の大小は関係がない」というのは本当でしょうか? 脂肪の多い少ないが乳房の大小を決めるのであって、母乳を所産する乳腺とは全く無縁という通説です。
お店の女の子を見ると胸の小さな子でも確かに良くお乳を出しています。年々胸の小さな子の需要は非常に高くなってきて、胸が小さな分、彼女達のがんばりが何か痛々しくさえ感じるほどです。
ですが、よく観察していると胸の小さな子は彼女達の努力も空しく早々に母乳が枯れてしまい、人妻デリに移籍していく例が多いように思えてなりません。
私の常連様にはお医者様が何名かいらっしゃいます。お伺いすると、乳汁の豊潤さは女性ホルモンであるエストロゲンによる乳腺葉と乳腺の発達如何で決定されると仰いました。
長期に渡って母乳を出し続けるには、まず第一にポテンシャルの高い乳腺組織を持っていること。次に恒常的に乳汁を分泌するための乳腺葉の数が多いこと。そしてその乳腺葉を含む乳腺組織自体が大きく発達していること。さらにこの傷つきやすい乳腺組織を保護する乳腺脂肪が潤沢に存在していること。これらが条件となってくるそうです。
発達した乳腺組織とそれを守る乳腺脂肪を包むには乳房という入れ物が大きくなるのは当たり前のことだそうです。乳房の大小は関係ないというのは女性の肉体差別原理主義をかわす虚構に過ぎないとも。そして最後には、
「そんなもん、おっぱいがデカいほうが乳がたくさん出るに決まっとる!」
という極めて単純な結論を仰いました……。
今お店で長期に渡って安定的にお乳を出しているのは私を含めて胸の(とっても)大きな子ばかりです。この統計結果を「乳房の大小は関係ない」とされた学者先生はどう説明されるのでしょうか?
私の周辺に限って言えば、見たままのイメージ通り「胸の大きな子はよくお乳が出る」これが実情なのです。
母乳好きの殿方にしても、大きな胸からいっぱいお乳が出る方が夢があっていいと思われますよね? 極めてファンタジーなお話ですよね? 私が男性だったらきっとそう思います。
私のお店でも昨今殿方のお好みの情勢が変化してきておりまして、母乳マニアでありながら貧乳や標準乳の女の子をご指名になるという特別需要が急上昇してきております。確かに彼女達はかわいいです。お乳が出ることが不思議なくらい……。
その方面の殿方にとっては私のような女はまるでバケモノ扱い。面と向かって、
「おまえのクソでかい乳ってさ、何かこう、でろーんとしてだらしない感じだろ。乳に緊張感が足らねぇんだよ。なんだよそれ、牛かよ。」
と言われたこともあります。自覚はしておりますが、これにはとても傷つきました……。
こんな経緯と危機感もあって、普通の大きさの子に対する妬心も少なくありません。なにしろ彼女達はいつもかわいい洋服が着こなせてカバンの斜め掛けも気軽にできるのです。走っても胸がちぎれるような痛みもないようです。
殿方にはなかなかご理解いただけないようですが、女の胸が大きくて得することなど日常生活においては何一つございません。邪魔な上に苦労することばかりです。
せめて風俗の世界ぐらい大きな胸が有利に働くのは当然とするべきです。貧乳がもてはやされるなんて世の中どうかしています。大きな胸こそお乳が良く出て指名がたくさんかかるぐらいのアドバンテージがあってしかるべきです。
どうして私たちばかり胸に合わせて肥満体の洋服やむだに高価な輸入ブラばかり買わなきゃいけないのかしら! 納得できない!