おれは前から抱き締める格好でユウちゃんの背中に手を回し、感覚だけでホックを外した。
カップを捲ってみると、ビキニの跡が残るU字型のふくらみがぶるんっとこぼれ出た。
「でけっ」
「おっきぃ」
真帆ちゃんも驚いていた。生のGカップはさすがに迫力が違っていた。
「日焼けの跡が残ってるから格好悪いでしょ。これでもクリーム塗ったんだけど」
「海?」
「ううん。従妹と一緒にプールに。海だとヘンな男に声掛けられまくって面倒だから近場にしたの。プールだと監視員さんとかライフセーバーさんがすぐ近くにいて安心じゃん」
「確かに」
ナンパ野郎、盗撮師、AVのスカウトマン――。歓声と水飛沫がこだまする夏の浜辺には危険があふれている。Gカップの女子高生が遊ぶにはリスクが大きいだろう。プールを選択して正解だったかも知れない。
おれはフル勃起を摘んでGカップの谷間にあてがい、あとはユウちゃんの為すままに任せた。
挟み慣れしたユウちゃんが器用に左右の乳房を手繰り寄せ、あっという間に15センチ砲を谷間に包み込んだ。そしてAVの女優さんみたいに溜めた涎を亀頭に垂らし、ゆっくりと揺すり始める。涼香の貧乳では味わえない感触だった。
「やベっ……超気持ちいいっ」
「そぉ? でも円光の時に挟んであげると意外とカタいねって、おじさん達にがっかりされるよ。張りが強いからなんか期待外れになるみたい。やっぱパイズリするならマシュマロとかプリンみたいに柔らかい方が理想なんだって」
「ユウちゃんに挟まれておきながら贅沢な難癖だな。こんな弾力のある巨乳に挟んでもらえるならそれで十分じゃん。おれはこのパイズリで十分だぜ」
「嘘。でも嬉しいけど」
クスっ、と微笑んでユウちゃんが左右のおっぱいを揺らした。交互に揺らすのではなく、二つの乳房を同時にユサユサ揺らす方法で。
谷間に埋もれたち○ぽが心地よい摩擦を受け、弾力の強いふくらみに圧迫される。
フェラとは違うくすぐったさ――というのが正直な印象だった。急速に射精欲を煽られることはないけど、ゆっくりと、しかも夢みたいな感触で装填が整えられてゆく。ち○ぽを谷間に挟むっていうのは、ある意味本番以上に幸せなプレイなんじゃないだろうか。
「そうやって揺する以外にどんなわざがあるの? 私、おっぱいが小さいからパイズリに凄い興味あるんだけど」
真帆ちゃんが首を傾げた。Bカップではさすがに挟んだことがないのだろう。
「色々あるよ。こうやって交互におっぱい揺らしてあげたり、谷間から出たおちん○んを舌で舐めてあげたり……。あとはここじゃできないけど、寝パイズリって云って仰向けになった私の上に男の人が跨って谷間におちん○ん出し入れするとか。あと着衣パイズリっていう少しマニアックなわざも。服着たままおっぱいを寄せて上げて、谷間に挟んであげるの」
「そんな経験まであんのかよ」
「予算が少ないキモヲタさんと円光した時、どうしてもパイズリして欲しいって云うから脱がないでそうしてあげたの。結構服の上からでも気持ちいいみたいだよ、私のGカップ」
「そりゃそうだろ。ユウちゃんの巨乳って着衣でも破壊力ありそうだからな。そのキモヲタ男、一瞬でイったろ?」
「1分持たなかった。ブラウスには出さないでって云ったんだけど、間に合わなくてたっぷり――笑。あんなどろっとした精子いっぱい掛けられたの初めてだったよ」
キモヲタ男はどれほどの幸せに襲われたのだろう。たぶん、性体験に恵まれて来なかった人生を一瞬で埋め合わせたはずだ。現役女子高生のGカップで存分に射精できたのだから。
「着衣パイズリはまた今度にしてもらうとして、その挟みながら舐めるってわざ見せてくれる?」
「いいよ」
と、ユウちゃんが左右の乳房を交互に揺する。揺すりながら長い舌を伸ばしてフル勃起の先っぽをくすぐった。無理に俯いた姿勢が苦しそうだけど、おれの愚息が標準よりでかくて幸いしたらしい。Gカップの谷間から顔を覗かせた海綿体が、ユウちゃんのぬるぬるしたベロで可愛がられていた。
「マジやばぃ……くすぐったくて超気持ちいい」
「出そうになる?」
「なる。おっぱいも柔らかいし舌も温かいし……ほんと最高」
涼香からユウちゃんに鞍替えしたくなる。こんな巨乳が彼女だったら毎日挟まれ放題だ。
ユウちゃんが舐めるのをやめて普通のパイズリに戻した。
「ちょっと首疲れちゃった」
「じゃあ真帆ちゃんと交代」
「うん」
ブラウスをはだけさせたままユウちゃんが便座から立ち上がった。そして、いったんブラのホックを留め直してGカップをしまった。けれどカップのポジションを整えるだけでブラウスのボタンまでは留め直さなかった。下着をさらしている羞恥心などとうに消え失せたのだ。
選手交代で真帆ちゃんが便座に座る。おれのフル勃起は初パイズリでダイヤモンド並みに硬直していた。童顔の真帆ちゃんに見せつけるにはほとんど兇器に近かった。
「ユウちゃんみたいに舐めるの上手くないからね」
上目遣いに予防線を張って、真帆ちゃんがフル勃起に手を添えた。星の数ほどの男に告白され、それをことごとくフッてきた美少女に、おれはただ一人、特権階級としてフェラを許されるのだ。あの時、文化祭で思い切って二人に声を掛けて良かった。
真帆ちゃんがか細い舌で先っぽを舐めた。ユウちゃんとは異なり、最初から亀頭責めするタイプのようだ。どちらかと云えば涼香のやり方に近い。
ただ、裏筋をちろちろくすぐった後、亀頭の両サイドにベロが移動するから溜まらない。カリ首の稜線と溝がほじられて「くっ」とうめいてしまう。
「全然うまいじゃん。優しくてなんかほっこりする舐め方だね」
「そぉ?」
ぱくっ、と真帆ちゃんが竿の裏を舐めることなく亀頭全体を咥え込んだ。
――と、その時。ふいにトイレのドアが開いて誰かが入ってきた。対戦麻雀の話で盛り上がっていることからすると、さっきの林ヶ杜高校の連中だ。嶺上開花でアガるとかありえねぇとか、清一色で裏ドラまで乗っけるとかふざけんなとか、ぶぅぶぅ文句を云っている。おそらく対戦相手にこてんぱんにやられたのだ。おれと真帆ちゃんとユウちゃんは固まった。
(しっ……声出したら気づかれるから黙って)
フル勃起を口に咥えさえさせたまま、おれは真帆ちゃんに人差し指を立てた。
(でぉ……潤くんのおひんひん口ぃはいったあんまだひ)
(聞こえるから)
おれは少し強めに人差し指を強調した。
個室の外がふと静まり返り、複数の気配を感じる。
気づかれたか……と一瞬身構えたけど、どうやら外の連中は普通に小用を足し始めたらしい。その証拠に、おれ達がいる個室は気にもせず、また負け半荘の愚痴を語り始めたのだ。便器に飛沫を叩きつける音が響いて、やがて空気が落ち着いた。
手を洗う音が響き、自動乾燥機のうるさい音が鳴り渡る。
真帆ちゃんも息を殺してストップフェラ状態で静止していた。
ドアが開いてやがて人の気配がなくなった。
「マジやばっ。危なく見つかるところだったじゃん」
「スリル満点だな。個室のエロって」
「んもう、潤くんのおちん○ん咥えたままだったじゃん」
「咥えられたままも気持ち良かったぜ、真帆ちゃんのフェラ」
「馬鹿」
バシンっ、と真帆ちゃんがおれの体をたたく。いったん真帆ちゃんの口から逃れたフル勃起はダイヤモンド以上の硬さになっていた。これでもかというくらいにそり返っている。
「ね、真帆ちゃんもおっぱいで挟んでよ、さっきのユウちゃんみたいに」
「そんなのできないってば。私、Bカップしかない貧乳なんだもん」
「できるよ。おれが真帆ちゃんのスポブラにち○ぽ突っ込むから、できる限りおっぱい寄せてみてよ。真帆ちゃんの着衣パイズリ。埋もれなくても挟んだ真似事で満足だから」
貧乳のパイズリにも少し興味がある。涼香にはさすがに無理難題だったけど、真帆ちゃんのBカップなら多少、挟まれた感は味わえるかも知れない。それに何より、着衣パイズリという技に興味がそそられていた。
「え〜……でもぉ」
真帆ちゃんは顔を真っ赤にして困惑している。挟んでみたいような挟んでみたくないような、そんな好奇心と劣等感で葛藤しているのだ。おれは真帆ちゃんのブラウスのボタンを外し、着衣パイズリなる技を強引に催促した。ロリっぽい木綿のスポブラがかわいい。きっとスポブラと普通のブラとを使い分けているのだ。
「お願い」
と、おれはがっちがちに硬くなったフル勃起の根元を摘み、真帆ちゃんのスポブラの谷間になすりつけた。
真帆ちゃんが少し困ったような顔をして、やがて決心したように左右の乳房を手繰り寄せた。決して深いとは云えない谷間が出来上がり、亀頭の半分だけがスポブラに埋もれる。木綿越しに感じるBカップは柔らかく、マシュマロみたいだった。
「できるじゃん、ほら」
「できてないから。全然挟めてないもん」
「挟めてるよ。ち○ぽ気持ちいいもん」
ユウちゃんも云った。
「そのサイズで半分も亀頭挟んでるなら合格だって。全部挟み込もうと思わないで先っぽだけ挟んであげればいい。両方のおっぱいをぴったりくつけて、ぱふぱふって」
「こぅ?」
と、真帆ちゃんが亀頭をパフパフする。控えめなふくらみが先っぽを圧迫するたびに、真っ赤に充血した海綿体が嬉しそうに膨らんだ。何より木綿の感触がくすぐったい。滲み出た我慢汁がスポブラに卑猥な糸を引いた。
(柔らけぇ……)
おれは充足感に包まれた。ユウちゃんみたいな豪快さはないけれど、Bカップのパイズリも捨てたもんじゃない。小さなふくらみで健気に挟む姿が可愛すぎるのだ。一生懸命パフパフしたり、ユウちゃんを真似て交互におっぱいを揺らしてみたりする従順さに心がときめいてしまう。同じ貧乳でも平気で浮気するどこかのAカップ女とは大違いだ。
「やっぱ難しいよ。ユウちゃんみたいに上手くできない」
「CカップとかDカップになったらまたレベル上げればいい。その時はまた真帆ちゃんに挟んでもらうから」
真帆ちゃんはまだ高校2年生だ。発育はまだまだこれからで、Bカップ以上に成長する伸びシロは十分にある。
おれは射精欲が均衡を保つフル勃起を谷間から放すと、真帆ちゃんのスポブラの中にそれを突っ込んだ。そして裏筋でふくらみ全体を味わうように、また両方の乳首を味わうように軽く擦りつける。木綿のスポブラがち○ぽ型に盛り上がり、Bカップには大変過ぎる着衣パイズリが完成した。真帆ちゃんの乳首はすでにつんと起っていた。
「これでどうするの?」
「もう一回、おっぱい寄せてみて。おれが腰動かすから」
真帆ちゃんが健気に云うことを聞く。
おれはゆっくりと腰を動かし、微乳の盛り上がりを堪能した。
時折、悪戯っぽくスポブラの胸元からフル勃起を露出させ、真帆ちゃんにパイズリフェラをねだる。童顔の美少女は懸命にそれにこたえてくれようとしたけれど、先っぽに舌が触れたのはほんの数回だけだった。やっぱBカップでのパイズリフェラは厳しいらしい。
「貧乳だと挟んであげるの大変だよ。おちん○ん舐めてあげようとすると首も疲れるし」
「いいよ。ありがと」
と、おれはやがて真帆ちゃんの髪を撫で、お礼にチュッと唇を重ね合わせた。
ただ、いきり立った15センチ砲は疼きまくってピクついている。このまま射精しないで終わればヘビの生殺しの見本みたいなものだ。
おれは真帆ちゃんを便座から立たせ、壁際にユウちゃんと並ばせて回れ右させた。
「なにすんの?」
怪訝そうに振り向くユウちゃん。
「フェラとパイズリは堪能できたから今度はお尻。二人とも壁に手をついておれにお尻向けてくれる? ちょっと前かがみになる感じで」
さっきの林ヶ杜高校の連中以来、トイレには人が入って来る気配がない。
「こう?」
ユウちゃんと真帆ちゃんが並んでタイル壁に手をつき、挑発するようにおれにお尻を向けた。軽い立ちバックの姿勢と云えば光景が伝わるだろうか。
「そう、そのまま。ほんとは二人のま○こにち○ぽ入れたいんだけど、今日はゴム持ってきてないから入れらんないし」
「当たり前じゃん。ナマで入れるとかヤだよ。失敗したら子供できるもん」
「だからお尻だけ。ちょいフェチっぽいプレイだけど我慢してもらっていい?」
「どうするの?」
不思議そうにおれを振り向く真帆ちゃんを無視して、おれは二人のスカートを捲った。木綿のパンツとヒョウ柄のショーツが一気に露わになる。
「……ちょっと潤くんってば」
「二人のお尻触るんだよ。制服には絶対かけないから、ユウちゃんと真帆ちゃんのお尻で精子出させて」
おれは露わになった二人の桃肉を、パンツの上から同時に撫でさすった。右手にはユウちゃんのむっちりした肉付きが感じられ、左手には真帆ちゃんのキュートな丸みを感じる。
一瞬、変態的に二人のお尻に頬ずりしてみたくなったけど、それ以上にいきり立ったち○ぽをくっつけてみたいという欲望が先に立っていた。
おれは真帆ちゃんのお尻の割れ目にフル勃起をあてがい、すりすりと裏筋を擦りつけてみた。木綿の触感が15センチ砲をくすぐり、均衡していた射精欲が再び発射準備を整え始める。
パンツの裾からフル勃起を突っ込んで激しくグラインドすれば、海綿体が木綿生地に、裏筋が桃肉に擦られて得も云われぬ満足感に包まれた。笑いながら身をくねらせる美少女の臀部で、幼いパンツが巨根型にふくらんだ。
「マジ気持ちいい……真帆ちゃんのお尻」
「あはは……ちょっと潤くんってば!」
今度はユウちゃんのお尻にち○ぽをあてがう。ほとんどTバック状態のヒョウ柄ショーツは女子高生がはくシロモノとは思えなかった。
「変態。涼香ちゃんにもいつもこういうことしてるんでしょ?」
「やってねェよ。ってか、頼んでもないのにお尻動かすユウちゃんの方がエロいじゃん」
「ゆるキャラとってくれたお礼に特別サービス。円光するとたまにこういうプレイお願いされるから慣れてるし(笑)」
ユウちゃんのお尻がクネクネと蠢き、円を描くようにおれのフル勃起を擦りまくった。それはまるで、満員電車で女子高生に痴漢した男が逆に痴女プレイをお見舞いされた光景に近かった。Tバックみたいなショーツにフル勃起を絡めてみると、激しい桃の動きに合わせて海綿体がこれでもかというほどに擦られた。おれは必死で射精欲をコントロールし、同世代の女の子の尻技を満喫した。
「ちょ……マジヤバいっ」
「うん? なにが?」
尻ずりにも慣れたユウちゃんがイタズラっぽくおれを振り向き、さらに激しくお尻をくねらせる。ち○ぽの極限を知り尽くした女友達は、ぎりぎりまでおれの愚息を弄ぼうというのだ。
おれは気持ち良すぎるユウちゃんのお尻からフル勃起を離し、二人にお尻をくっつけるように要求した。童顔の妹系美少女と、ギャル女子高生との桃コラボレーションだ。
おれはその合わせ目に15センチ砲を突っ込み、両サイドから桃肉を感じるまま激しく腰を動かした。
射精のコントロールが利かなくなるまで十秒も持たなかった。
「ぅぁっ……イクっっ!!」
二人のお尻にサンドイッチされたままおれは大量の精液を発射した。それは射精の域を超えて怒濤の域に近かった。
膝が崩れ落ちるほどの快感から解放されてみれば、二人のお尻にたっぷりのスペルマが降りかかっていた。
「あ〜あ……こんなに出しちゃって」
「ハァ、ハァ……ハァ」
「お尻でイクとか超ヘンタイじゃん。スケベ」
「真帆ちゃんとユウちゃんのお尻が気持ち良すぎるんだよ。女子高生のクセにヒョウ柄のショーツとか子供みたいなパンツとか反則じゃん。マジ興奮した」
「潤くんのおちん○んもアツかったよ。私のお尻ですごい喜んでたもん」
真帆ちゃんがお尻についたスペルマを振り返った。小さくてもきれいな丸みを帯びた桃肉に、白濁した粘液がナメクジみたいに這っていた。
「一生分の精子出したかも……ハァハァ、ハァ」
「あはは。じゃあもうエッチできないじゃん」
おれは二人のお尻を拭ってあげるのも忘れ、暫く夢みたいな余韻に浸っていた。
そしてち○ぽが怒張するのをやめ始めると、巻き取ったトイレットペーパーで左右の桃肉を掃除してあげたのだった。
秘密めいた個室に青春の一ページが記憶される。
二人が代わりばんこお掃除フェラしてくれたことは、改めて書き記すことじゃないかもしれない。
※
「ね――ごめんって謝ってるじゃない。いつまでそんなにヘソ曲げてるの? もう潤のこと騙して浮気なんかしないからちゃんと許してよ」
終業式が終わった午前11時。おれと涼香は2年B組の教室で久し振りに声を交わしていた。例のカラオケボックスの一件が学校の噂として広まって以来、おれと涼香は一緒にお弁当を食べることも一緒に帰ることもやめ、二週間以上、一言も口を利いていなかった。
気まずい空気を察した同級生達が、気を利かせて教室を立ち去って行く。
「別にヘソなんか曲げてねェよ。他の学校の男に気に入られたならそれでいいじゃんか。おれのことなんか忘れて新しい彼氏でも作ればいいだろ。おれは涼香と付き合ったことは間違いだったと思わないし、これからも後悔することなんてないんだから」
「違う、違うってば。私は潤のことが一番大好き、今も今までもこれからも」
「じゃあなんでカラオケなんか行ったんだよ、おれにウソついてまで」
痴話喧嘩の結末を知りたい同級生達が、教室を出て行ったふりをして廊下で耳をそばだてているのは分かっている。けれど、だからと云って修羅場を中断するわけにもいかなかった。おれもゲーセンでの件があるからまともに涼香の顔を見られない。有利な立場に立っているようで実はそうじゃないのだ。
「二週間も潤からメールが来ないなんてツラいよ。もうあんなことはしないから許して。また一緒に帰ろうよ……また二人で一緒にお弁当食べてよ」
「……」
涼香の目に涙が浮かぶ。おれは、ユウちゃん達との件を棚に上げてなにを云っているのだろう。
「一つ聞くけど、あの後、誰かにお持ち帰りされたのか」
涼香が少し間をおいてからこくんと小さく頷いた。おれに正直になろうという態度がそれで分かった。
「そうか。……で、その男とは?」
「……もうメールも電話もしてない。2、3日置きくらいに『また遊ぼうよ』って連絡が来るけど」
「……」
「私、あの時、みんなにお酒飲まされて酔ってたから。シラフに戻ってから潤に悪いことしたなって本気で後悔した。カラオケの誘いを断れなかったのもちょっと自暴自棄になってた部分があったからだし。だって潤、この頃、私とのエッチになんか不満があるみたいだったもん」
ああ、くそっ。なんて女だ。おれの欲求不満を見抜いていたのか。それならそうとはっきり云ってくれればいいのに。
「じゃあその男のメールアドレスと電話番号、今この場所で消去しろ。着拒にして金輪際二度と会うな」
おれは命令した。自分のスマホに記録されたユウちゃんと真帆ちゃんのエロプリ画像が、ふと脳裏をよぎる。
「分かった……すぐ消す」
涼香がバッグからスマートフォンを取り出し、涙を拭いながら暗証番号を操作した。その様子をそばで見守っていたおれは、魔が差してしまったこの女の子を許そうと思った。なぜなら、彼女が入力した暗証暗号はおれの誕生日だったのだから。なにを血迷っていたんだ、おれは。こんなにおれを思ってくれる女の子なんてこの世に二人といないじゃないか。なにが巨乳だ、なにがエッチへの不満だ。男女の関係は体のサイズが基準じゃない、お互いの信頼度が何よりも大事なのに。
データを消し終わった涼香の長い髪を、おれは久しぶりに優しく撫でてみた。
「分かったからもう泣くな。今回の件はおれが悪かったことにする。別に涼香とのエッチに不満があったわけじゃない、ただちょっとマンネリ化してきてるなって思ってただけだ」
「ぐすん……それってつまり不満だってことじゃん」
許してもらえたことを悟った涼香の顔に、二週間ぶりの笑みが戻った。
「不満じゃねぇよ。ただ涼香のおっぱいが小さすぎて物足りなかっただけだ」
「やっぱり不満なんじゃん。Aカップでごめん」
どすんっ、と涼香がおれに体当たりしてきた。それですべてがご破算になった。
おれは涼香の腕を乱暴に掴んだ。
「じゃあ帰るぞ。42分の電車を逃すと次までかなり待ちぼうけを喰らうから」
「うん」
廊下で聞き耳を立てていた同級生達が慌てて進路を譲る。
終業式が終わった校舎は新学期への期待を帯び始めていた。
おれは真帆ちゃん達とのエロプリをあとで消去した。二人から連絡が途絶えたのもそう遠い日ではないことだ。
これが青春のステータスというものだろう。
同じ世代として出会って同じ時間を共有し、そしてそれぞれの人生を歩み始める。振り返ってみれば、思い出の一ページとしてその瞬間がセピア色に輝くのだ。
おれは涼香と手を繋いで学校近くの駅へと向かった。
久しぶりに抱いた彼女の体は、やっぱりふくらみの満足感に欠けていて、おれのフル勃起をあの個室みたいに満足させることはなかった。必死で手繰り寄せたAカップの谷間には、15センチ砲の先っぽすら挟めなかったのだから(笑)
「青春のステータス」END
Concept Design and Written by Angel Heart