Ｐａｇｅ 615 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ ＩＮＤＥＸ ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼アポイント・・・2 訪販指導員Ｋ 05/1/18(火) 15:16 ─────────────────────────────────────── ■題名 ： アポイント・・・2 ■名前 ： 訪販指導員Ｋ ■日付 ： 05/1/18(火) 15:16 -------------------------------------------------------------------------
| マニュアルを片手に受話器を耳にあて、深呼吸しダイアルする。 とにかくはじめの５分、ここで決まる！そう言い聞かせ、私の一日が始まった。 ２００５年、１月７日（金）の出来事である。 名前は拓海、もちろんお子さんのお名前だ。この拓海ちゃんのお母さんが 私にとっての大事なお客様。どうぞ上客でありますように。 「もしもし、○○ですが･･･」 「お忙しいところ大変申し訳ございません、私、、○○のＫと申しますが･･･。」 ･･････････ ･･････ ･･･ 三分経過･･･ 機嫌は良さそう、声も若い、年齢は27歳（7歳の拓海君ってことは20で結婚） 結婚が早かったから遊びが少なく、普段はテレビが日課。好きな番組はバラエティ。 五分経過･･･ 旦那の帰りは遅い、しかも歳が二周りも上？Ｈは多分していない。 欲求の度合いは･･･？かなり不満がありそう。旦那はどうやらエリートだ。 淋しい夫婦生活、子供だけが二人を繋ぐ絆のようにも思える。 10分経過･･･ 特に仕事の話などしていない。何のために電話をしたのかすら忘れそうだ。 奥様は真奈美という名前で、背は小さいが胸が大きい事をコンプレックスにしているとの 情報まで入ってきた。ここまでくると、人生相談か、仲のいい学生のような関係にも なってくる。先輩Ｓのようなトークにまでは持っていけないが、「逢ってみたい！」 そう思わせる事ができれば、ここでのラインは合格だ、あと少し･･･。 30分経過･･･ 途中、何度か携帯と宅配の邪魔が入るも電話は切らずにいてくれた。 「ほぼ確定」の文字が頭によぎった時、向こうからこっちの事を聞いてきた。 「Ｋさんは結婚してるの？」「いつもそうやって電話してるの？」 こっちに興味を持った時、それは相手が扉を開いたという事。 自分の持つイメージを上回った時、アポイントに繋がる！先輩Ｓの言葉が浮かんだ。 「真奈美さんのような奥さんだったら、今よりもっと幸せだったなぁ」 などと、相手を持ち上げつつも自分から「逢いたい」とは絶対に言わない。 すると「Ｋさん、何の電話してきたんだっけ？楽しくてわっすれちゃった」 「なんでって･･･。なんだっけ？真奈美さん、可愛いからすっかり話し込んじゃった」 「アハハ、ダメじゃん。Ｋさん、今日は忙しいの？」「なんで？」 「なんだかずっと話していたいかも？」悪戯に話す彼女。既にもうテレクラである。 「今日はずっと空けてあります、ってか今話してるんだから他の事なんてどうでもいい」 「Ｋさんって優しいね。何だか私、逢ってみたくなっちゃったな」 ズドンッ！これでようやく確定である。契約もほぼ八割は決まったような状況。 脳汁がポタポタと、そして先走り汁がヌルヌルとなる至福の瞬間。 ちなみにアポイントは先延ばしにしない事が大前提。一番いいのはその日。 少なくても３日以内、これ以上空くと最悪･･･アポとっても家にいないというケース多々 「じゃあ、真奈美さん。今日これから会いに行ってもいい？」 「これから？何時くらいになりそう？」 「早ければお昼前にはいけますよ、何か予定でも？」 「拓海が２時過ぎには帰ってきちゃうから。」 「充分間に合いますよ、じゃあすぐ出ますから11時半頃でどうです？」 「じゃあ急いで準備しなきゃ。何だか緊張してきちゃった、どうしよう」 「緊張しないでくださいよ、こっちまで震えちゃう。じゃあ場所なんですけど･･･」 電話を切り終えた後、隣で先輩Ｓがニヤリと笑う。 「効果覿面じゃない！今夜はしっかり奢ってもらうよ、幸せモノ！」 これほどまでにスッコンとアポが取れたのは初めてだった。 先輩Ｓに感謝すると共に、新たな自分の可能性を見出した気がした。 そしてこの後･･･訪問販売での至福を体験する。 続きます |