Page 580 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼Busty Christmas 〜第二章〜 Angel Heart 04/12/24(金) 17:03 ┗Merry X'mas! Angel Heart 04/12/24(金) 17:11 ┣Re(1):Merry X'mas! 仁 04/12/24(金) 23:18 ┗Re(1):Merry X'mas! 防人 04/12/25(土) 1:21 ─────────────────────────────────────── ■題名 : Busty Christmas 〜第二章〜 ■名前 : Angel Heart ■日付 : 04/12/24(金) 17:03 -------------------------------------------------------------------------
† ……それから30分も経つと、ボクの緊張もだんだんとほぐれてきた。最初は三人のお姉さんたちに囲まれて恥ずかしかったけれど、お話をするうちにまどかさんや咲さんの人柄が分かってきたからだ。 まどかさんは外見通り知的で、とても頼りになる人だった。聞けば大学の研究室では、沙弓さんに論文の指導をしているのだという。先生にとってのお姉さん。それがまどかさんだ。 一方の咲さんも外見通り。元気でキュートで気さくで人見知りしない。ちょっと天然だけど、それがかえって魅力的だった。 「……ふぅん。それで沙弓に勉強を教えてもらうことになったんだ」 話題はボクが沙弓さんに教えてもらうことになった経緯だった。 「でもぜんぜん成績が上がんなくって、沙弓さんには申し訳ないです」 「フフ。それって沙弓の教え方が悪いだけなんじゃないの?」 すると沙弓さんがぷくっと頬を膨らませた。 「あ、それって酷ォい。咲ちゃんの成績はちゃんと上がってるもんね?」 「うん。さゆりんに教わり始めてから、咲、赤点一回も取ってないよ」 ケーキを頬張りながら言う。やっぱり女の子だ。 「それなら原因は琢也くんにあるってわけね。たとえばお勉強中、ずっと沙弓に見とれてて、教えてもらったこと頭に入んないとか(笑)」 「う……」 「あれ? ひょっとして図星?」 女の勘と言うやつだろうか。核心をつかれてボクは動揺した。 「そうなの?」 沙弓さんまでがボクを見つめる。なんて答えればいいんだよぉ。 「まぁ、年上のお姉さんに憧れる年頃だもんね。沙弓、今フリーよ」 「まどかさんも彼氏いないじゃないですか(笑)」 「あら、そうだったかしら?」 「って言うかさ、みんなフリーだからここにいるんじゃん」 咲さんが爆弾を投下した。クリスマスは恋人と過ごすという習慣は、いったい、誰が始めたのだろう。 「そうね。でも、私たちにも素敵な彼氏ができたと思わない? ねぇ、琢也くん☆」 まどかさんが意味深にウィンクする。セクシービームを放ったのはまどかさんだった。 ――と。 「あ、忘れてた!」 不意に沙弓さんが立ち上がった。そうして、クローゼットの方へと向かう。 「どうしたのかな?」 不思議そうに言う咲さんに向かって、まどかさんが謎を掛けた。 「分からない? クリスマスの夜に、恋人が集まって乾杯したら、次にすることは?」 ――なんだろう? 「エッチ!」 さ、咲さんって……。 「それもあるけど、プレゼントよ。クリスマスプレゼントの交換に決まってるでしょ」 「あ、なるほどー」 ボクも頷いた。この前買ったプレゼントはちゃんと持ってきている。 やがてクローゼットから戻ってくると、「メリークリスマス!」と沙弓さんがきれいにラッピングされたプレゼントをみんなに手渡した。咲さんには指輪、まどかさんにはレアなお酒、そしてボクには……。 「あ」 それは沙弓さんの愛情がこもった、手編みのマフラーだった。 「あ、ありがと」 「ふふっ。同封のお手紙はあとでこっそり読んでね」 見れば袋のなかに便箋が見えた。これ以上ないくらい嬉しかった。 「聖ニコラウスね」 まどかさんが言う。 「聖ニコラウス?」 「サンタクロースのモデルになった人よ。ミュラの司教だった彼が、貧しい三人娘に嫁入りの持参金をあげたのがクリスマスプレゼントの始まりなの。煙突から金貨を投げ入れたら、暖炉に干してあった靴下のなかに入ったんですって」 へぇ。さすが大学院生だ。これでサンタクロースが煙突から入ってくる理由も、イブの夜に靴下を枕元に置いて寝る理由も分かった気がする。 「なぁんてトリビアはともかく、小さな聖ニコラウスさんも、ひょっとして三人のお姉さんたちに金貨をくれるの?」 まどかさんが迫るような目でボクを見る。つまり、クリスマスプレゼントの催促だ。 「あの……ええっと――」 ボクは片手にプレゼントの入った紙袋を握りながら、うつむいてまごまごした。てっきり沙弓さんと二人きりだと思っていたから、まどかさんと咲さんへのプレゼントを用意していなかったのだ。 六つの視線に見つめられて、ボクは観念するしかなかった。 「ご、ごめんなさい。沙弓さんの分しか用意してなかったから」 おずおずと袋を差し出す。でもまどかさんも咲さんも機嫌を損ねなかった。 「冗談よ。一緒にイブを過ごしてくれるだけで嬉しいんだもの。――ねぇ?」 まどかさんが振ると、咲さんも頷いた。 「ありがと。なにが入ってるの?」 沙弓さんが微笑んだ。でも本当は、ボクもなにが入っているか知らなかった。雑貨屋で買ったそれは福袋みたいなもので、贈る方も贈られる方も開けてみないと分からない、という変わったプレゼントだったからだ。 「なにかな?」 咲さんの目がキラキラと輝く。沙弓さんが丁寧に封を開けた。 なかにはきれいに包装された箱が三つ入っていた。ちょうど人数分だ。 「三人で一個ずつ開けようよ」 咲さんが言う。まるで子供だった。 「そうね。……ねぇ、琢也くん。このプレゼント、みんなで分けっこしてもいい?」 「あ、はい」 ボクは答えた。期せずして、全員にプレゼントをあげられることになる。 ところが、ラッピングを開けられてびっくりだ。 「あ……」「これって?」「わぉ!」 がーん! なんてことだ。包みのなかには、それぞれデザインの違うブラジャーが入っていた。 「あゎゎゎ……ご、ご、ごめんなさい、そそ、そんなつもりじゃ」 ボクは思わずうろたえてしまった。これではまるっきり変態だ。 「ごめんなさい、ごめんなさい」 ボクは必死で謝った。顔から火が出る思いだった。穴があったら入りたかった。 それなのに――。 「なに慌ててるの?」 まどかさんの口調は冷静だった。それどころか沙弓さんも咲さんも喜んでいた。 「え……だ、だって下着なんか入ってると思わなかったから」 まどかさんが微笑む。 「素敵な贈り物よ。琢也くんは知らないかも知れないけど、“Angel Heart”って言ったら下着ブランドの最高峰なんだから。そのブラジャーをプレゼントしてくれるなんて……フフ、琢也くん、今みんなの好感度MAXに上がったわ」 「え……Angel Heart?」 「私もね、ずっと“Angel Heart”のブラが欲しいなって思ってたの」 沙弓さんが言った。言いながら、セーターの上からブラをつける真似をする。真っ白いタートルネックに映えるような、大人びた黒いブラジャーだった。 (そ、そうだったんだ) とりあえず一安心。でもまさかこんなものが入っていたとは……。 ふと咲さんが呟いた。 「あれ? でもこのブラって、みんなサイズ違わない?」 「――ほんとだ。えーっと……私のがGで、まどかさんのがE。それから咲ちゃんのがFか。まどかさんって、バストサイズどれくらいでしたっけ?」 「97センチのGカップよ。沙弓は?」 「私は94のFカップ」 「咲は87のEだよ」 「とすると……」 三人はちょっと考え込み、やがてお互いのブラを交換した。その光景にボクはどきどきだった。沙弓さんのおっぱいは前々から気になってたけど、言われて見ればまどかさんも咲さんもおおきい。不等号で表せば、まどかさん>沙弓さん>咲さんだ。 「こうすればみんなサイズ通りね」 結局、先生が水色のシンプルなブラを、咲さんが花柄のかわいいブラを、そしてまどかさんが大人びた黒のブラを手に取った。この方がイメージに合うかも知れない。 「こんなに素敵なプレゼントをもらえるんなら、来年のクリスマスも琢也くんと過ごそうかしら?」 まどかさんがボクを見つめる。 すぐに沙弓さんが突っ込んだ。 「ダメですよ。そんな純真な男の子を誘惑しちゃ」 「あら? それって嫉妬?」 「違・い・ま・す!」 怒ったように言い、沙弓さんがグラスのカクテルを一気に煽った。顔が真っ赤になっているのは、お酒のせいだろうか、それともまどかさんの言葉が図星だったからだろうか。 「ねぇねぇ、このブラ、今着けてみてもいい?」 咲さんが“Angel Heart”を手におねだりした。 こちらもシャンパンで酔って……って、咲さんって酔っ払ってOKだっけか? 「いいんじゃない?」 言ってワインを飲み干すと、まどかさんがなにか閃いてパチンっと指を鳴らした。 「そうだ。――ねぇ、どうせならみんなで試着してみない?」 「え、ここで?」 「そう。琢也くんの目の前で」 ごふっ、とボクは思わずジュースを噴き出しそうになった。 「こんなに素敵なプレゼントなんだもの。琢也くんだって、みんなに似合うかどうか気になるわよねぇ?」 「…………」 「うーん」 沙弓さんが唸る。その瞳は明らかにボクの反応を窺っていた。 「どうしようかな? 着替えてみてもいいけど、でも琢也くんにおっぱい見られるの恥ずかしいからナ」 お酒が手伝っているとは言え、そこにはボクの知らない沙弓さんがいた。 「とか言って、沙弓ってば、実はちょっと乗り気でしょ?」 「アハ。分かる?」 先生が笑った。本当に、みんなボクのプレゼントを試着するつもりなのだろうか。 突然訪れた幸運に、ボクは信じられない思いでいっぱいだった。 ふと時計を見れば7時を回ったばかり。 奇跡が起こるはずの聖夜は、まだまだ終わりそうになかった――。 〜Main H-scene will be showed on December 25th〜 |
休筆中なんですが、やっぱり物語を紡ぎたい衝動には勝てません。 というわけで、クリスマス限定で復活。Angel Heartって言うぐらいだから、聖夜には登場しないとねぇ(笑) せっかくのクリスマスに、淋しい思いをしているアナタヘ。 妄想天使からパーティへのご招待です。喜んで頂ければ、と思います。 予定では四章構成。イブとクリスマスに二編ずつアップします。 でも、まだ最終章が書きあがってないんだよなぁ・・・…(泣) |
いつも楽しみにしています。 今回の話も続きが気になってしまいます。 構成とかばっちりですよね。 続き、がんばってください。 |
おお、聖夜に復活ですか! 素晴らしいプレゼントを有難うございます。 |